かつて「マル外のダービー」と言われた「NHKマイルC」は第27回を迎え、唯一の外国産馬が米国生まれのジャングロだ。3連勝で前哨戦のニュージーランドTを制し、勢いも出来も最高潮。4日、栗東トレセンで追い切り、坂路併せ馬で1馬身遅れたが心配なし。昨年シュネルマイスターに続く（外）Vへ、態勢は整った。5日に出走馬が確定し、枠順は6日に発表される。　

　自慢のスピードを解き放つのはレース当日でいい。ジャングロは村上助手を背に開門直後に坂路へ。高ぶる気持ちを鎮め、最初の1Fを13秒2、2F目が13秒0とゆったりした入りでラップを刻んでいく。ラスト2Fで気合をつけると先導役フォルツァエフ（7歳3勝クラス）との差を縮め、12秒4→12秒6でフィニッシュ。1馬身遅れたものの、相手もその気になれば4F50秒台を叩き出す脚力の持ち主だ。ジャングロ自身、いっぱいに追ったわけではなく、4F51秒2とよく動けている。村上助手は納得の表情で切り出した。

　「あまり時計を出し過ぎないよう、最後は流した。遅れたけど全く問題はないし、それ以上に動きの柔らかみ、フットワークの軽さなど、状態の良さを感じることができた」

　昨年12月の中京2歳S（芝1200メートル）は1分8秒4の2歳コースレコードでV。これで軌道に乗った快足馬は続くマーガレットSを道中4番手から楽々と抜け出し、連勝を飾った。村上助手は「デビュー時はきゃしゃなイメージだったが、一戦ごとに筋肉がついてきた。中でも一番良くなったのは精神面」と成長をアピールする。

　その精神面の成長がマイル攻略につながった。前走・ニュージーランドTは2F延長で昨秋のベゴニア賞6着以来、2度目のマイル起用。テンからスッと行き脚がついて先手を奪い、道中リズム良くラップを刻み、ゴール前は差し返すしぶとさを発揮して重賞初制覇のゴールへ。3歳マイル路線の主役候補に名乗りを上げた。

　「オンとオフの切り替えができるようになり、マイルをこなせるようになった。これからどこまで強くなるのか。今は距離を問わず、どんな競馬にも対応できることが強み」

　森厩舎は08年皐月賞（キャプテントゥーレ）以来、14年ぶりのJRA・G1制覇が懸かる。これまで地方と海外を合わせたG1・11勝のうち、鞍上・武豊で7勝をマークした。00年皐月賞、菊花賞2冠馬エアシャカールや00年ジュライカップ（英国）をアグネスワールドで制すなど国内外で活躍。NHKマイルCは97年シーキングザパールで勝った。今年も同じく米国産（外）でチャレンジ。93年開業で30年目を迎えた森師は「あの時のように勝ちたい。何とか結果を」と期待を寄せた。長く競馬界に話題を提供してきた名コンビが3歳マイル決戦を盛り上げる。