【エルムS】ブラッティーキッド 8連勝中の“悪ガキ”準備OK、予定通り動かずゆったり

2022年8月4日 05:30

札幌ダートコースを単走で追い切るブラッティーキッド(撮影・千葉 茂)

 古馬ダート重賞「第27回エルムS」(7日、札幌)の追い切りが3日に行われ、地方在籍時から8連勝中と急成長を遂げたブラッティーキッド(牡4=中尾)が札幌競馬場のダートコースで連戦の疲れを感じさせない平常運転の走り。英語の「悪ガキ」と名付けられたクセ馬が、相棒の水口優也(31)と人馬ともに重賞初制覇を狙う。

 8連勝中の“悪ガキ”は今回も動かない。上がり馬ブラッティーキッドは水口を背に札幌ダートコースで単走追い。ゆったりとしたストライドで馬場の外めを駆け抜ける。エルムS組で同コースで追い切ったのは9頭。全体時計5F71秒1、ラスト1F13秒1はともに最も遅かった。

 「稽古では押しても引いても動かない」。水口の予告通りの最終追い。中央再転入後の3連勝も最終追いはコースは違えど全てラスト1F13秒台。「直線で気を抜かないように肩ムチだけ。いい意味でいつも通り、予定通り。しっかり走れていました」。15戦目のコンビ。実戦でのエンジンのかけ方が分かっているからこそ、あうんの呼吸の静の追い切りだった。

 悪ガキと名付けられた4歳牡馬は、3歳の4月にデビュー。9月までに11戦したが、3度の2着が最高で未勝利を卒業することができなかった。地方転出が快進撃の契機に。園田と姫路で5連勝し、今夏に中央へ戻ると、1勝→2勝→3勝クラスと破竹の勢いで駆け上がった。「デビュー前からポテンシャルの高さは感じていたが、(再転入後は)体の中身が全然違う。力強くなって、トモにも力がついて推進力が出てきました」。馬体重は500キロ前後と変わらないが、手綱を介して伝わる手応えはまるで別馬。「ポンポンと勝って重賞に駒を進められるのは運がいい。チャンスをものにしたい」と千載一遇の好機を逃すつもりはない。

 水口自身にとっても、重賞タイトルは喉から手が出るほど欲しい。“水口に重賞を”と気にかけてくれている山上和良氏の所有馬ならなおさらだ。「セカンドテーブル(水口とのコンビで17年CBC賞2着)で悔しい思いもしたし、オーナーにはいい馬にずっと乗せていただいている。感謝の思いを胸に乗りたいです」。13年目で通算65勝の苦労人が、悪ガキとともに目指す恩返しV。わかってくれとは言わないが、そこには競馬のロマンがある。

 《“最終仕上げ人”黒岩、杉原に続け》水口は25度目の重賞挑戦。これまでは17年CBC賞(セカンドテーブル)、21年函館記念(アイスバブル)の2着が最高だ。先週は新潟ジャンプSで21年目・黒岩が、アイビスSDで12年目の杉原がそれぞれ重賞初勝利を果たした。黒岩はキタサンブラック、杉原はグランアレグリア。G1の追い切りでもおなじみの名前が悲願Vの流れ。所属する池江厩舎の数々の名馬の最終仕上げを任されてきた男にとっては、追い風が吹いている。

 ◇水口 優也(みずぐち・ゆうや)1991年(平3)3月22日生まれ、茨城県出身の31歳。10年3月6日デビュー。同6月27日、福島6RのビラゴーティアラでJRA初勝利。12年7月に美浦所属から栗東へ移籍、18年1月から池江厩舎所属に。JRA通算2241戦65勝(3日現在)。1メートル63、51キロ。血液型A。趣味はショッピング。

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