【スプリンターズS】ナムラクレア 1週前“エグい”坂路ラスト2F23秒3!最終追いはリズム重視

2022年9月29日 05:30

坂路で追い切るナムラクレア(撮影・亀井直樹)

 調教ジャッジこそ馬券的中への近道――。そんなコンセプトで動き、ひと追いに込められた狙いに徹底的にこだわった秋のG1新企画「厳選超抜リスト」をスタートさせる。単に追い切りと言っても東西トレセンには多くのコースがあり、各厩舎のスタイルもさまざま。点ではなく線で捉えた際の過程が重要で見方ひとつで評価は大きく違ってくる。とにかく奥が深いジャンルだが、そこを踏まえて1頭をプッシュ。新コーナー1発目の「第56回スプリンターズS」は元気印の3歳牝馬ナムラクレアだ。

 牝馬が躍進する時代。リスグラシューやアーモンドアイ、クロノジェネシスのようにレースで牡馬を一蹴する牝馬がいたが、今の時代、稽古の段階から牝馬が牡馬を圧倒してしまう。スプリンターズSのナムラクレアがそうだ。

 坂路の最終追いは単走、馬なり。元ジョッキーの長谷川師自らが手綱を取り、リズム重視で刻んだ4F53秒0~1F12秒0はメリハリの利いた手本のような調整。ぶれない確かな姿勢が体幹の強さを伝える。「今朝は息と状態面の確認。非常に馬がリラックスして息の入りは良かった。手前の替え方も上手だった」と長谷川師。仕上げのうまさは若くして職人の域だ。

 先立つ坂路の1週前追いが超抜だった。手綱を取った浜中の言葉を借りれば「エグい」動き。僚馬ホッコーハナミチ(4歳3勝クラス)をリードホースにして背後から抜け出す。瞬時にかわすと、そこから一瞬でちぎって捨てた。それも当然。ラスト2Fは11秒8→11秒5の加速ラップを刻んでいる。気の利いたオープン馬ならテンから飛ばせば4F49秒7の時計は出せる。しかし、ラスト2F23秒3は容易に刻むことはできない。天性の卓越したスピードと瞬発力がなければ、この時計は出せない。動きに舌を巻いた浜中は同時に成長を口にし、意気込んだ。

 「元々、調教は動く馬ですが1週前は素晴らしい動き。成長を含めて力をつけているな、と思いました。器用に走ってくれる馬なのでコース替わりに不安はない。力はある馬なので、それを発揮できるようエスコートして、素晴らしいレースを見てもらえれば」 

 稽古が実戦に直結するスプリントG1。07年アストンマーチャン以来となる3歳牝馬の戴冠が見えてきた。

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