【ジャパンC】(14)ダノンベルーガ 歴史は静かに動く、堀師「先週までに仕上がっている」

2022年11月25日 05:30

レインフロムヘヴン(奥)と併せて追い切るダノンベルーガ(撮影・郡司 修)

 山が動く直前は、得てして静寂に満ちたもの。天皇賞・秋3着から挑むダノンベルーガの最終追いは拍子抜けするほど「静」に徹していた。坂路を軽くキャンターで駆け上がり、Wコースへ。レインフロムヘヴン(4歳3勝クラス)の2馬身前を走り、2頭が横並びになることはなく、1馬身先着でゴール。5F71秒0~1F12秒1(馬なり)。先行→先着で実質は単走。一見地味な時計も、名伯楽・堀師の思惑通りだった。

 「先週までに仕上がっているので、今日は微調整程度。手応え的には天皇賞の前と変わりない」

 17日の1週前追いはムーア(レースは川田)を背にWコースで6F84秒6~1F11秒4としっかり負荷をかけた。既に臨戦態勢は整っているから、当週はジタバタしない。計画的に仕上げる堀師の流儀でもある。

 春は皐月賞→ダービーで連続4着と無冠に終わったが、誰もが認める現3歳屈指の実力派。秋初戦の天皇賞・秋(3着)でも力は示した。指揮官は「満足のいく状態で出走でき、内容もこの馬の持っている能力をしっかりお見せできたと思う」と述懐。その後は香港カップを辞退し、ジャパンCへ。「前走後の状態を確認した上で、秋もう1戦できると判断。ただ、まだ3歳でこの段階での海外遠征は負担が大きい。総合的に考えて、香港は辞退しました。体のバランスを考えると左回りの方が良く、大きなコーナーは申し分ない。(距離の)2400メートルは少し工夫が必要かなと思う」と参戦経緯を説明した。

 もし勝てば、3歳のG1未勝利馬のジャパンC制覇は82年ハーフアイスト(米国)以来、実に40年ぶり2頭目の快挙。98年エルコンドルパサーと18年アーモンドアイ(ジャパンCが通算7戦目)を上回り、史上初の最少キャリア6戦目のVと記録ずくめの快走となる。堀師は「競馬を使うとウイークポイントの右トモ(後肢)は悪くなるのでケアしています。競馬を一度使ったことで精神的にピリッとして集中力が出た。全体的に気持ちが乗ってきた印象」と上積みも感じ取っている。ダービーでは1番人気に推された未完の大器。JRA・G1・20勝を誇る名手川田を背に、歴史は動くのか?ドーハに負けじと、府中にも熱視線が送られている。

 《日本馬史上初の「3歳&G1未勝利馬V」へ》G1未勝利馬のジャパンC制覇は外国馬を含めてこれまで9頭。そのうち3歳馬は82年の米国馬ハーフアイストだけ。日本馬でG1未勝利馬の優勝は93年レガシーワールド、03年タップダンスシチーなど5頭いるが、全て4歳以上だった。3歳&G1未勝利馬のダノンベルーガがVなら、日本馬としては史上初だ。

特集

2022年11月25日のニュース