【有馬記念】綱本将也氏 あるぞラストドラフトのジャイキリ
2022年12月23日 12:00 有馬記念5大事件といえば、以下に挙げる5つの事件でしょう(※諸説あります)。
【90年:オグリキャップ、復活のラストラン】
【91年:ダイユウサク、単勝オッズ137.9倍で優勝】
【93年:トウカイテイオー、奇跡の復活】
【05年:ディープインパクト、まさかの初黒星】
【19年:アーモンドアイ、よもやの大惨敗】
90・93年の【感動の復活】型、05・19年の【衝撃の敗北】型、91年の【超大穴馬のジャイアントキリング】型の3タイプに分類できますが、今年もこの5大事件に匹敵するような、のちに6大事件と語り継がれるような何かが起こるかもしれません。
グレード制が導入された1984年以降、以下の4条件を満たした3歳馬を全て並べてみましょう。
・ダービーで2番人気以内
・ダービーで5着以内
・ダービー後、2走以内
・有馬記念3番人気以内
90年2着メジロライアン
93年2着ビワハヤヒデ
94年1着ナリタブライアン
05年2着ディープインパクト
11年1着オルフェーヴル
12年1着ゴールドシップ
16年1着サトノダイヤモンド
18年1着ブラストワンピース
19年2着サートゥルナーリア
21年1着エフフォーリア
10頭で6勝2着4回と、全て1・2着でした。
ダービーで2番人気2着の後は天皇賞(秋)の1走のみ、そして有馬記念でも3番人気以内はほぼ確実で、今年新たに有馬記念3歳馬ベストイレブンに名を連ねるのが(9)イクイノックスです。
この強力3歳馬が2着に負けた4回の年を見てください。90・93・05・19年……なんと5大事件が勃発したうちの4年と、ピタリと一致するではありませんか!
つまり、もし(9)イクイノックスが2着に負けるようなことがあれば、今年も大事件が起こる可能性が高いと言わざるを得ません。
しかし、今年の出走馬の中で、勝ってオグリキャップやトウカイテイオーほどの感動を、また負けてディープインパクトやアーモンドアイほどの衝撃を残せるような馬は、正直なところ見当たらず、【感動の復活】型、【衝撃の敗北】型はなさそうです。したがって、今年起きる事件は【大穴馬のジャイアントキリング】型でしょう。
実は1頭、騎手、血統の両面から気になっている超穴馬がいます。
JRA所属の650勝以上を挙げている現役騎手32人の中で、唯一JRA・G1を勝っていないのが三浦皇成騎手(※980勝・23位)です。唯一勝っていないということは、裏を返せば、もういつでも勝っていい状況にあると言ってもいいでしょう。
三浦騎手の地方競馬の成績も含む年別の勝利数における重賞の割合を見てみると、08~20年までは11年の4.4%が最高値でしたが、昨年4.6%とわずかに更新。キャリアハイの重賞4勝を挙げている今年は7.4%と、さらに上昇させています。勝利の質が高まっている今、三浦騎手の初G1制覇へのカウントダウンの声が聞こえてきます。三浦騎手の初G1制覇は、それだけで十分に事件です。
その三浦騎手が騎乗するのが(11)ラストドラフトですが、この馬の母はディープインパクト産駒の桜花賞馬マルセリーナ。ディープインパクト産駒の桜花賞馬は他に、ジェンティルドンナ、アユサン、ハープスターの3頭がいますが、今秋、ジェンティルドンナ産駒のジェラルディーナがエリザベス女王杯を、アユサン産駒のドルチェモアが朝日杯FSを立て続けに優勝しています。ディープインパクト産駒の桜花賞馬の繁殖牝馬としてのポテンシャルの高さが証明されると同時に、マルセリーナ産駒の(11)ラストドラフトのG1制覇の期待も高まったとも言えます。
今年の有馬記念で大事件を、ジャイアントキリングを起こすとするなら、ファン投票は出走馬中ダントツ最下位の125位、単勝は万馬券まである三浦皇成騎手と(11)ラストドラフトのコンビが、ふさわしいでしょう。
<結論>単勝:(11)
馬単フォーメーション:1着(9)(11)→2着全通り30点
1着全通り→2着(9)15点
ワイド流し:軸(11)→相手全通り15点
3連単フォーメーション:1着(11)→2着(9)→3着全通り14点
◇綱本 将也(つなもと・まさや)1973年(昭48)生まれ、東京都出身。漫画原作者で講談社漫画賞受賞「GIANT KILLING」(サッカー漫画)を手掛け、ヤングチャンピオンに競馬漫画「スピーディワンダー」(作画・山根章裕)を連載(17巻完結)。若い頃は競馬で生計を立てていた。独自のデータ予想で、最ももうかった有馬記念は08年(ダイワスカーレットV、2着アドマイヤモナーク)。