【AJC杯】ノースブリッジ 鮮烈V 長期在厩調整実った 奥村武師「これからだな、という競馬」

2023年1月23日 05:29

<中山11R・AJC杯>内ラチ沿いを伸びたノースブリッジ(左端)(撮影・郡司 修)

 1月の中山を締めくくる伝統の古馬G2「第64回AJC杯」が22日、中山競馬場で行われ、岩田康誠(48)騎乗の4番人気ノースブリッジが内から差し切って重賞2勝目を挙げた。中京競馬場メインの今年初のダート重賞「第40回東海S」は2番人気プロミストウォリアが逃げ切って、1勝クラスから破竹の4連勝で重賞初勝利。ダート戦線に新星が誕生した。

 岩田康誠の会心譜だ。

 道中ラチにピタリ寄りつく。前が空くのをじっくりと待つ。大丈夫、落ち着いてる、教えた通りや――。鞍上が語りかけ、ノースブリッジがそれに応えるかのような完璧な運び。4コーナーで前が空くと、待ってましたの追い出し。鮮やかに抜け出した。鞍上の代名詞とも言えるイン差しで、ノースブリッジに2つ目の重賞タイトルをもたらした。検量室前で奥村武師を見つけると、岩田康は馬上でガッツポーズ。「イエス!」。思い通りの競馬に喜びを爆発させた。

 1000メートル通過が1分1秒3というスローペース。我慢できず、外から捲りにいく馬がいる中でも冷静に追走。エキサイトして11着に大敗した昨年の天皇賞・秋とは別馬のようだった。脚がたまった直線では一瞬の切れ味を生かし、外から伸びたエヒトの猛追を3/4馬身差しのいだ。岩田康は「なだめながらにはなりましたけど、中山2200メートルという難しいコースで、ちゃんとファイトしてくれた」と愛馬の成長に感嘆した。

 陣営の思いが結実したレース内容だ。奥村武師の「出したり入れたりしていると、教えたことを覚えてくれない。手元に置いて調教したい」という考えで、2年近く放牧に出さず在厩で調整。栗東所属の岩田康も1週前追い、最終追いと2週続けて美浦に駆けつけ、入念にコンタクトを取った。トレーナーは「ジョッキーとコンビをずっと組んでもらって、やっとかみ合った。騎手が手の内に入れてくれた。これからだな、という競馬だった」と鞍上の協力に感謝した。

 「天皇賞・秋が目標だったから昨年は左回りを使っていたけど、右回りの2000メートルがベスト」。春は大阪杯(4月2日、阪神)が目標となる。再びつかんだG1への挑戦権。今度こそ能力全開で、中距離界の頂点を狙う。

 ノースブリッジ 父モーリス 母アメージングムーン(母の父アドマイヤムーン)18年1月24日生まれ 牡5歳 美浦・奥村武厩舎所属 馬主・井山登氏 生産者・北海道新冠町の村田牧場 戦績12戦6勝(重賞2勝目) 総獲得賞金1億7391万6000円 馬名の由来は北+橋(人名より)。

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