【フェブラリーS】切れ味爽快ドライスタウト!反応抜群ラスト1F12秒8
2023年2月16日 05:30 23年のG1シリーズは今年もダート頂上決戦で幕が開ける。「第40回フェブラリーS」の最終追いが15日、栗東、美浦両トレセンで行われた。ドライスタウト(牡4=牧浦)は主戦の戸崎圭太(42)が2週連続で追い切りに駆けつけ、坂路の併せ馬で軽快な動き。万全の態勢を整えた。キャリア6走で伸びしろも十分。砂のニューヒーロー誕生の瞬間に胸焦がれる。同レースは16日に出走馬が確定、17日に枠順が決まる。
冬将軍の到来、栗東トレセンは一瞬にして白銀の世界に包まれた。気温計はマイナス1度。子供は風の子を地でいくなら、スポットライトを浴びるのは元気でフレッシュな4歳馬。ドライスタウトが万全の態勢を整えた。
追い切りは美浦所属の戸崎が2週連続で栗東に駆けつけ、ウオーミングアップからコンタクトを取った。この日は角馬場から坂路へ。ハッピースワニー(4歳3勝クラス)との併せ馬はパートナーを追いかける形。序盤400メートルを14秒3~14秒4とゆったり入る。ラスト400メートルで一気にギアをアップ。馬なりで僚馬に並びかけ、半馬身先着したところでフィニッシュ。4F54秒1~1F12秒8をマークした。動きを見届けた牧浦師が切り出す。
「ずっとトレセンにいると気が入り過ぎるところがあるので、前走の後は短期で放牧へ。1週前はしっかり負荷をかけました。今週は調整程度の時計。馬の後ろで我慢させて折り合いをつけ、ゴール前だけしっかり並んでゴーサインで反応させる形。ジョッキーも“先週から順調に上がってきているので、いい状態で競馬に向かえたら”と言っていました」
前走・すばるSは首差の惜敗2着に大きな収穫を得た。本来の先行策ではなく、馬群の中で脚をためた。ラスト200メートルでエンジンが爆発。一気に勝ち馬に迫った。ニュースタイルを見つけたキャリア6走目。伸びしろはたっぷり、明るい光が差し込んだ。
「前走は勝ち馬にうまく乗られて、ラスト200メートルしか脚を使う場面がなかったですね。この馬が勝つ時は好位から抜け出すパターンが多かったけど、我慢してしまいを生かすような競馬ができた。これが本番に生きてくるのではないかなと思います」
直線の長い東京マイルの舞台設定を思えば、こういう競馬ができたのは大きい。デビュー7走目で勝てば16年モーニン、21年カフェファラオに次ぐ最少キャリア優勝に並ぶ。新馬戦から3連勝で全日本2歳優駿を制覇。昨年は順調さを欠いた時期もあったが、着実に階段を上ってきた。冬の寒さもへっちゃら。キャリアホースがデンと構えるダート界に新星が誕生する。
▼馬名の由来 スタウトはアイルランド発祥の黒ビール。馬名は毛色(黒鹿毛)からの連想だ。ドライスタウトは主流のスタウト。コーヒーフレーバーで、キレのある個性的な苦みが特徴。エッジの利いた末脚で、メロメロに酔わせる。
《若手が強い》さあ立ち上がれよ、ヤングマン。過去10年の年齢別成績を見ると4、5歳馬がそれぞれ4勝ずつ。ダート重賞は戦歴豊富なキャリアホースが幅を利かせる印象があるが、このレースは“若手”が強い。4歳馬は一昨年がカフェファラオV、昨年はソダシが3着と2年連続馬券に絡んでいる。