【NHKマイルC】武豊と黄金のオオバンブルマイ!全開加速で残り2F伸びた

2023年5月4日 05:30

武豊を背に坂路にて併せ馬で追い切るオオバンブルマイ(手前)(撮影・亀井直樹) 

 3歳マイル路線の頂点が見えた。5週連続の東京G1開幕戦「第28回NHKマイルC」の追い切りが3日、東西トレセンで行われ、重賞2勝馬オオバンブルマイが武豊を背に栗東坂路で軽快なフットワークを披露した。前走・アーリントンCで課題のゲート&距離をクリアし、本番に弾み。名手に導かれ、G1獲りを目指す。同レースは4日に出走馬が確定。枠順は5日に発表される。

 小さな体を目いっぱい、大きく動かした。重賞2勝オオバンブルマイは武豊を背に坂路へ。序盤は燃えたぎる闘志をグッと内に秘め、ゆったりした運び。残り2F(400メートル)から一段階、ギアを上げると残り200メートルで先導役ロングウッド(3歳未勝利)を一気にかわした。躍動感のある走りで馬場の真ん中をスイスイ加速。4F52秒8~1F12秒8を馬なりで刻み、5馬身先着した。武豊は「中2週なので、それほど強い調教は要らない、との指示でした。抑えるのに苦労するぐらい元気が良く、ラストは馬なりでサッと。いい動きだったし(体調面で)気になるところは全くない」と納得の表情だ。

 新コンビを組んだ前走・アーリントンCは道中7番手から。折り合い重視で運び、余力たっぷりに直線に入ると重馬場をものともせず、馬群の外からグイグイ脚を伸ばした。まるで測ったかのような頭差V。マイルの壁を乗り越え、昨年の京王杯2歳S以来、2度目の重賞制覇を飾った。鞍上は「前走はラスト外に出して、馬の体勢が整ってからの伸びが良かった。引っ掛かることはないし、左右のバランスもいい」と評価する。

 唯一の敗戦がG1初チャレンジとなった2走前・朝日杯FS。スタートで後手に回り、不完全燃焼の7着に終わった。その後、陣営は課題を克服しようとゲート練習を取り入れ、その成果が即、表れたのが前走。吉村師は「元々手のかかるタイプではないし、理解力の高い馬。前走後、ジョッキー(武豊)が“もうゲート練習は要らない”と言ってくれました」と笑みを浮かべた。

 前走時の馬体重が426キロ。数字だけを見ると小柄だが3歳馬らしからぬ、どっしりとした立ち姿で数字の印象以上の迫力だ。「競馬場でジョッキーがまたがるとグッと体を大きく見せる。他の大きな馬と比べても迫力で負けていないし、以前と比べると筋肉の張りが出て、体つきが良くなってきた」と成長に目を細める。

 レースでも行って良し、差して良しと自在性が一番の強み。課題のゲートを克服した今、弱点は見当たらない。武豊は「いろいろな馬が(重賞を)勝ってきている中、この馬は重賞2勝。(同世代で)トップクラスの馬だと思う。東京は重賞を勝っているコースだし、前走で1600メートルもクリアしてくれた。前走の感じだと1400メートルより、1600メートルの方がいいと思う」と舞台を歓迎する。

 武豊は97年シーキングザパール、01年クロフネ、06年ロジックでV。NHKマイルC、最多タイの3勝を挙げる。頼れる鞍上が華麗な手綱さばきでパートナーの全能力を引き出し、3歳マイル王へと導く。

 【アーリントンC組好走】前走・アーリントンC組はNHKマイルCのトライアルとなった18年以降、22頭が出走して【1・0・4・17】で複勝率22・7%。18年3着レッドヴェイロン(9番人気)、19年3着カテドラル(7番人気)、20年3着ギルデッドミラー(7番人気)、昨年はダノンスコーピオンが4番人気で勝ち、18頭立て最低人気カワキタレブリーが3着に。21年を除いて必ず3着以内に好走している。

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