【書く書くしかじか】競馬界における「馬券」の存在意義を再確認

2023年5月17日 10:10

 ▼日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。東京本社の鈴木智憲(55)が担当する今週は、東京競馬場内のJRA競馬博物館で開催されている「競馬法と安田伊左衛門」展を紹介する。

 オークス、ダービーと競馬界が最高潮の盛り上がりを見せる2週間が始まった。東京競馬場では7日のNHKマイルCから6月4日の安田記念まで、5週連続でG1を開催中。場内の4コーナー付近にあるJRA競馬博物館では、競馬法100周年記念「競馬法と安田伊左衛門」展を10月1日まで開催しており、来場者は多い。

 1923年に法案が貴族院で可決され「競馬法」が制定されてから100周年を迎える。1906年に黙許された馬券発売が1908年の刑法施行により禁止されたため、競馬関係者にとっては悲願だった。この制定に尽力したのが「日本競馬の父」と言われる安田伊左衛門。1954年創立の日本中央競馬会初代理事長で、その功績を称えて設立された「安田記念」にその名を残している。

 同博物館で学芸員を務める秋永和彦氏は「競馬法の存在を知らなくても競馬を楽しめますが、そのためにはいかに馬券の存在が大きいかを分かっていただけると思います。安定した収入のおかげで今の競馬が成り立っているのです」と同展の意義を説明した。

 1933年に開場した東京競馬場は今年が90周年。1932年から始まった日本ダービーは今年が90回目(戦争により2回中止、第3回から東京で開催)になる。それらを記念して同博物館では「東京競馬場のあゆみ」、「東京優駿 世代の頂点を決める―競馬の祭典―」も併せて開催している。今月27日までは毎週土曜日の午前11時と午後4時の2回、ガイドツアー(先着20人、受付にて申し込みが必要)を行っている。

 記者も大正時代は年66日(現在は288日)の開催だったことや、当時は宮崎でも開催していたこと、馬券の購入は1レースにつき1人1枚だったこと、払戻金の上限が10倍だったことなどを知って、かなり勉強になった。東京競馬場に来場の際には是非お立ち寄りを。

 ◇鈴木 智憲(すずき・とものり)1967年(昭42)9月25日生まれ、愛知県出身の55歳。92年スポニチ入社。競馬、競輪、ボートレース、オートレース、ゴルフなどさまざまな担当を経験。

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