グレープブランデーから10年…浜中が再び導いた砂王

2023年6月30日 05:00

<帝王賞>優勝したメイショウハリオ(撮影・会津 智海)

 【競馬人生劇場・平松さとし】28日に大井競馬場で行われた帝王賞はメイショウハリオが優勝。連覇を決めた。2年連続で騎乗したのは浜中俊騎手。写真判定で鼻差の勝利が分かると満面の笑みで喜びを爆発させた。

 浜中騎手のダート馬というと、個人的に思い出されるのはグレープブランデーだ。12年に同騎手とタッグを組んだこのマンハッタンカフェ産駒は阿蘇Sを勝利し、続くシリウスS(G3)は3着。その後は当時、短期免許での来日となっていたM・デムーロ騎手やC・ルメール騎手に乗り替わり。結果、ルメール騎手を背に13年の東海S(G2)を優勝した。

 こうして続く一戦でG1のフェブラリーSに挑戦することになるのだが、短期免許だったルメール騎手は帰国。空位となった鞍上に、浜中騎手が戻された。

 G1でまたもお声がかかった要因の一つに、同騎手が前年の12年にリーディングジョッキーを獲得していたという実績があると思われた。そこで当時「実績を認められて大舞台で騎乗依頼をもらえるのは、一流騎手の証だね?」と声をかけると、本人はかぶりを振って次のように答えた。

 「そんなことはありません。(武)豊さんら本当の一流ジョッキーは、G1でいきなり声がかかっても“既に他の騎乗馬が決まっているから…”と断るケースが多いはずです。直前に依頼されて乗れているうちはまだまだだと思います」

 とはいえ、勝ちたい気持ちは当然、持っていた。

 「前年はリーディングといってもG1勝ちは皆無でした。だから、ここは何としても勝ちたかったです」

 すると、競馬の神様がご褒美をくれた。

 「“勝つ時はうまくいく”とよく言うけど、まさにそんな競馬でした。枠順、展開、コース取り等、全てがうまくいって勝てました」

 それからちょうど10年。新たなダート王メイショウハリオの母の父はグレープブランデーの父と同じマンハッタンカフェ。そして、父はパイロという事で、海外遠征もあるかもしれない。浜中騎手とのさらなる飛躍に期待したい。 (フリーライター)

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