【有馬記念】20世紀の最後を締めたテイエムオペラオーの一年
2023年12月20日 05:24 世界が祝賀ムードに包まれたミレニアム。千年紀。シドニーオリンピック女子マラソンで高橋尚子が金メダルを手にしたゴールドイヤーの00年は紛れもなく「テイエムオペラオーの年」だった。
始動戦の京都記念から阪神大賞典、天皇賞・春を制覇。春のグランプリ・宝塚記念も難なく手中に収める。秋は京都大賞典から始動し天皇賞・秋、ジャパンカップまで7戦7勝。しかし、華やかなイブ決戦に最大の試練が待ち構えていた。
単勝オッズは1・7倍の圧倒的1番人気。もはや敵なしに思えたが、1周目の3コーナーで進路をふさがれ、12、13番手まで後退してしまう。スローペースで馬群に閉じ込められ、万事休す。直線に向いても位置取りは絶望的だった。大観衆から悲鳴が上がる。
が、勝利の女神が伸ばした細い手を和田竜二がつかんだ。わずかに開いた隙にオペラオーが切り込む。最後はライバル、メイショウドトウとの叩き合いを鼻差抑え、ゴール。
絶望から歓喜へ。鞍上の和田は勝利インタビューでもまだ声が震えていた。「凄いレースをしてくれた。最後は1頭分のところを躊躇(ちゅうちょ)なく入っていけた。終わってみれば次元の違う勝ち方をしてくれた」と愛馬の力走を称え、「馬の力以上にファンの皆さんの後押しがあったからと思う」と感謝の言葉を口にした。
竹園オーナーの「今年はひとつも負けたらいかん。全部勝つ」の大号令で始まったオペラオーの00年。20世紀最後の有馬記念はG15勝を含む年間重賞8勝というミレニアムにふさわしい完全勝利で幕を閉じた。