池添×メイケイエール有終の美飾れるか
2024年3月22日 05:05 【競馬人生劇場・平松さとし】池添謙一騎手といえば、11年の三冠馬オルフェーヴルとの名コンビが思い出される。
同馬とタッグを組むきっかけとなったのは08年。ステイゴールド産駒で気性が難しいドリームジャーニーは、蛯名正義騎手(当時、現調教師)、武豊騎手が騎乗してきた。ところが武豊騎手が乗れなくなったタイミングで、管理していた池江泰寿調教師が、池添騎手に声をかけた。当時、同師は次のように語っていた。
「池添騎手はスイープトウショウやデュランダルなど、難しそうな馬で勝っていました。だからドリームジャーニーの鞍上を任せました」
この見解に誤りはなく、池添騎手はドリームジャーニーを宝塚記念と有馬記念(いずれも09年)で栄冠に導くと、同馬の弟のオルフェーヴルでも鞍上を任されたのだ。
それから月日が流れ20年。武豊騎手で小倉2歳S、ファンタジーSと連勝し、翌21年のチューリップ賞は同着ながら1着になったのが栗東・武英智厩舎のメイケイエールだった。
この馬もまた気性の勝ったタイプ。武豊騎手や横山典弘騎手ら名手中の名手が乗っても、一生懸命に走り過ぎる馬だった。
21年の秋、スプリンターズSに同馬が出走した際、同日に行われた凱旋門賞に騎乗するため武豊騎手が乗れなくなった。そんな時、奇跡が起きた。武英師は言う。
「スプリンターズSの前に、外で偶然、一緒になった池添騎手が“スプリンターズSで騎乗する予定だった馬が故障して乗り馬がいなくなりました”と言うのです」
渡りに船だった。すぐオーナーに許可をいただき、実現したのがメイケイエールと池添騎手のタッグ結成。以降コンビで重賞を3勝した。そして、今週末の高松宮記念には、ラストランでの初G1制覇を懸けて出走する。
ちなみに高松宮記念のレースレコードは1分6秒7だが、この舞台のコースレコードはそれを0秒5上回る1分6秒2。この数字を叩き出したのはメイケイエールと池添騎手のコンビである。有終の美を飾れるか、注目しよう。 (フリーライター)