【京成杯AH】アスコリピチェーノ電光石火!Wコース3頭併せで直線並ぶ間もなく抜き去った

2024年9月5日 05:30

Wコースで追い切るアスコリピチェーノ(撮影・郡司 修)

 いよいよ秋競馬がスタート。いきなり登場するG1馬2頭が万全の態勢だ。秋の中山開幕を飾る名物G3「第69回京成杯AH」の最終追いは、ここが始動戦の2歳女王アスコリピチェーノが美浦Wコースで出色の切れ味を披露。

 穴党のため息が聞こえてくる豪快デモ。2歳女王アスコリピチェーノの切れ味に磨きがかかっている。北村宏(レースはルメール)を背にWコースで3頭併せ。先行する僚馬コスモヴィーコ(3歳1勝クラス)、ムーンナイト(2歳未勝利)を射程圏に入れて迎えた直線、並ぶ間もなく抜き去った電光石火の末脚は、この日のコース最速となるラスト1F11秒0。全体時計5F65秒6も優秀で、黒岩師は「加速も良かったし、動きはひと安心できる内容だった」と笑顔で振り返った。

 4カ月ぶりの秋初戦。「体重は変わらないが、体つきは少しゴツくなった」とパワーアップした漆黒の馬体が鮮やかにきらめく。夏の暑さを乗り越え、追い切るごとにコンディションは良化。入厩当初は重さも感じさせたというが、1週前もWコース5F65秒1~1F11秒1と攻め、「(1週前は)まだ余裕があった分、バランスの修正点があったが、今日は左右差も和らいでいた。折り合いや仕掛けてからの反応を確認する目的の最終追いだったが、休み明けとしてはしっかり仕上がった」と胸を張った。

 3歳牝馬が勝てば85年エルプス以来39年ぶり5頭目。G1馬の優勝も08年キストゥヘヴン(06年桜花賞)が最後だ。阪神JF制覇後も桜花賞2着、NHKマイルC2着と実績を積み重ねたアスコリピチェーノに課せられた重量は55・5キロ。3歳、しかも牝馬であることを鑑みれば実質的なトップハンデに等しいが「ある程度は想定していたので」と指揮官は泰然自若だ。

 「春2戦は結果を残せず残念だった。今後のレースを選択していく上でいいレースをしたいし、ここは結果につなげたい」。阪神JF以来9カ月ぶりの白星こそが、2歳女王の前途を明るく照らす。

 《3歳牝馬Vなら85年以来》京成杯AHを制した3歳牝馬は4頭。東京開催だった56年の第1回を制したヒガシテラオーを皮切りに3頭は60年代までのレース草創期。いずれも軽ハンデを利してのVだった。84年グレード制導入以降では85年エルプスのみ。同年の桜花賞を制し、オークスでは15着に惨敗したが、秋初戦を55キロで快勝した。また84年以降でG1馬の優勝もエルプスを含めて3頭のみとなっている。

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