【セントライト記念】ルカランフィースト いざ開花の秋!藤沢和イズムで“大一番”見送り
2024年9月11日 05:30 3歳夏の成長力で重賞の壁も突破だ。今週は土日月の3日間開催。そのラストを飾る月曜中山メインの菊花賞トライアル「第78回セントライト記念」(3着までに優先出走権)へ、出色の気配を見せているのがルカランフィースト。競馬のレジェンドの教えを守って成長の芽を伸ばした。
ダービーは競走生活のゴールではない…とは藤沢和雄元調教師の名言。ダービーに合わせて体力が備わっていない若馬に無理を強いれば才能の芽がつまれてしまう。その一方で、大事に育てれば、いずれ才能の芽を伸ばして恩返ししてくれる。「豆も煎(い)ってなければ芽を出すよ。馬だって同じだ」と説いた。
「うちのもそうですよ。無理してダービー路線に向かわず放牧に出したら、見違えるほどたくましくなって戻ってきた」。藤沢氏から改良を加えた厩舎棟とともにその理念も受け継いだ鹿戸師は坂路モニターを見つめながら切り出した。その視線の先にはルカランフィーストが弾む。「フットワークが大きくなったのか。とても大きく見せる走り方をする。体つきもひと回り大きくなって、迫力が出てきた」。今春は460キロ台だった馬体重も8月20日の帰厩時に490キロ前後、その後調教を重ねて現在は480キロ前後。山元トレセン(宮城県)での夏の放牧を経て10キロ以上増えている。皐月賞(8着)後に左前肢に多少の疲れが見られたためダービーに執着せず休養入りさせたのが正解だった。
オープンで活躍した母ゴージャスランチからの連想で“豪勢なごちそう”(ルカランフィースト)と命名されたが、似ているのは馬名だけではない。太い首、盛り上がった肩と後肢、旺盛な食欲をうかがわせるアゴッ張り…。「うり二つだ。お母さん同様によく食べるからいい体になっている。気性は前進気勢が強かったお母さんと反対で、ズブいぐらいだから距離延長も問題ないでしょう」。若竹賞(1着)やスプリングS(3着)当時は騎乗した横山武や調教をつけた柴田善らが「成長途上」と口をそろえた逸材。無理を強いて“いり豆”にしなかったから3歳のひと夏で成長の芽を一気に伸ばした。14年にこのレースを制したイスラボニータとの父子制覇へ。ダービーは競走生活のゴールではない…の教えを体現するサラブレッドだ。
《現3歳逸材多数》17頭が勝ち上がった鹿戸厩舎の現3歳世代には逸材が多い。札幌のWASJ第2戦を勝ったシュバルツクーゲルは菊花賞(10月20日、京都)へ。新潟日報賞2着のトロヴァトーレは秋風S(28日、中山)、昨年の札幌2歳S優勝セットアップはオパールS(10月5日、京都)へ。ルカランフィーストの今後についてはセントライト記念で決まる。