【阪神JF】アルマヴェローチェ 2歳女王!岩田望 61回目の挑戦でJRA・G1初制覇

2024年12月9日 05:29

<京都11R・阪神JF>ガッツポーズする岩田望来騎手 (撮影・亀井 直樹) 

 休み明けも初マイルも一切、関係なかった。2歳女王決定戦「第76回阪神ジュベナイルフィリーズ」は8日、京都競馬場で行われ、札幌2歳S2着から3カ月ぶりの5番人気アルマヴェローチェが差し切りV。デビュー6年目、初コンビを組んだ岩田望来(24)にとってもJRA・G1初制覇となった。上村洋行師(51)は今年の大阪杯(ベラジオオペラ)に続くG12勝目。米国馬メイデイレディは13着に終わった。

 淀の西日をバックに黒鹿毛の馬体が勢い良く伸びてきた。直線、外に進路を取ったアルマヴェローチェが岩田望のゴーサインに反応し、エンジン全開。追い比べで食い下がる内のビップデイジーをラスト100メートルで突き放し、1馬身1/4差で人馬ともにG1初制覇のゴールへ。右こぶしでガッツポーズの岩田望は「調教で乗った感触が良く、自信を持って乗れました」と会心の騎乗を振り返った。

 初コンビながら息ぴったりの走りを見せた。道中は中団で脚をため、絶好の手応え。上がり3F最速34秒3の末脚を繰り出し、突き抜けた。「スタート五分に出て、ある程度前につけようと。理想の形だったし、追い出してからの脚が凄かった」と1週前追いに騎乗したパートナーの能力を再認識。見た目に文句なしの勝ち方でも、もちろん乗っている本人は必死で「ゴールするまで分からず、内を見た時に誰もいなかったので、やっと勝てたと思いました」と笑みがこぼれた。

 父・康誠の背中を追いかけて騎手を志し、19年にデビューした岩田望。これが61度目のJRA・G1騎乗だった。「やっとこの声援を聞けました。応援してくださるファンがいて、何とか一日も早くと思っていたけど6年もかかってしまいました」としみじみ。同期の団野が昨年高松宮記念と先月マイルCSで既にG12勝、菅原明も今年宝塚記念でG1ジョッキーの仲間入り。「団野、菅原がG1を獲っていたし、マイルCSは自分が乗っていない中で本当に悔しい思いをしました」。仲が良く、切磋琢磨(せっさたくま)し合う同期の活躍が刺激にもなった。自身は今夏、武者修行でフランスへ。そんな岩田望に手綱を託した元騎手の上村師は「無難に乗るな、思い切っていけ。それだけ伝えた」とシンプルに指示。トレーナーの思いに応え、攻めの騎乗を貫いた。

 アルマヴェローチェにとっても大きな勝利となった。上村師は「札幌(札幌2歳S2着)に使った後はここを目標にした。いい状態だったと思うし、パドックの雰囲気も良かった。1800メートルしか走っていなかったけど、器用なのでカバーしてくれると思った」と狙い通り。マイルにも対応し、来春につなげた。桜花賞(4月13日、阪神)は初コースになるが「札幌や今回、京都の馬場もこなしてくれてオールマイティー。特に問題はない」ときっぱり。さらに「レースぶりから長いところが合いそう」とその先を見据える。まだキャリア3戦、伸びしろ十分の2歳女王が牝馬クラシック戦線をリードしていく。

 ◇岩田 望来(いわた・みらい)2000年(平12)5月31日生まれ、兵庫県出身の24歳。父はJRA騎手の岩田康誠。19年3月に栗東・藤原英厩舎所属でデビューし、現在はフリー。同30日に阪神5R・ポップフランセでJRA初勝利、22年京都牝馬S(ロータスランド)で重賞初制覇。JRA通算4590戦503勝、うち重賞12勝。1メートル61、52キロ。血液型B。 

 アルマヴェローチェ 父ハービンジャー 母ラクアミ(母の父ダイワメジャー)22年2月15日生まれ 牝2歳 栗東・上村厩舎所属 馬主・大野照旺氏 生産者・北海道安平町のノーザンファーム 戦績3戦2勝(重賞初勝利)総獲得賞金8560万円 馬名は武器(イタリア語)+冠名

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