【関屋記念】カナテープ反応抜群!キング姐さん背に夏バテ知らずの動き「満足できる動きだったわ」
2025年7月24日 05:30 真夏のキャッチコピーは「キングの夏、日本の夏」。暑熱対策として競走時間帯を変更して開催される新潟サマーシリーズ(26日~8月17日)。開幕週のメイン「第60回関屋記念」(27日、7R)の追い切りが23日、美浦、栗東トレセンで行われ、カナテープが夏バテ知らずの軽快な走りを披露した。短期騎手免許で来日中のレイチェル・キング(34=オーストラリア)は先週の函館2歳Sに続く重賞制覇に手応えをつかんだ。
夏の風物詩だったセミの大合唱さえ聞こえてこない猛暑の美浦トレセン。異常気象でミンミンゼミやアブラゼミが羽化に失敗したり夏バテしたせいだという。「私は全然へっちゃら。猛暑には慣れているわ。オーストラリアでは日中40度で競馬に乗っているのよ」。セミの代わりに冷房機器がうなりを上げる調教スタンドの前で“キング姐(ねえ)さん”が涼しい顔を浮かべた。
夏は牝馬というが、6歳牝馬カナテープの手綱から伝わってきたのも夏バテ知らずのフットワーク。Wコースで2馬身先行したミラクルキャッツ(5歳1勝クラス)のインに進路を向けると、馬なりのまま併入。「満足できる動きだったわ。レース前なので速いタイムは出さずに微調整でという指示。反応もフットワークも良かった」と追い切りの感触を口にするキング姐さん。「リラックスしているのも心強いわ。自分の仕事を心得ているプロフェッショナルな馬なのよ。末脚が武器だけど、後方からでなくてもレースができるわ」
2月の東京・初音S(3勝クラス)で後方一気を決めて以来2度目のコンビ。「当時よりも力をつけている感じ。全体的にパワーアップしたわ」。猛暑で羽化に失敗したセミとは対照的に、カナテープは6歳の夏を迎えて羽化(成長)を遂げたのだろう。
今夏は1カ月のJRA短期免許(19日~8月18日)を取得。函館初参戦となった1週目は函館2歳S(9番人気エイシンディード)を鮮やかに逃げ切り、JRA重賞5勝目を挙げた。今週は新潟初参戦。「新潟のレースをVTRで見たけど、左回りの広いコースみたいね。金曜に新潟入りして直接、馬場を確認しておきたい」。年初の約2カ月の短期免許期間中はフェブラリーS(コスタノヴァ)で女性騎手初のJRA平地G1制覇を飾った。今週土日曜とも新潟で騎乗した後は厳しい暑さが続く札幌に滞在する予定。猛暑で勢いを増すキング旋風はヒグラシが「カナ・カナ」と秋の気配を告げるお盆過ぎまで続く。
《堀師JRA全10場重賞制覇へ》カナテープを送り出す堀師も関屋記念に向けて好感触を得ている。「在厩調整で、23日の調教後の馬体重は487キロ(前走府中牝馬S2着時=484キロ)。前走の疲れが取れてから乗り始めてきたが、暑い時季でも調子は維持できている。この舞台(新潟外回り1600メートル)は合っていると思う」とコメントした。堀師はJRA重賞78勝を挙げているが、新潟では重賞未勝利。勝てば調教師として史上7人目のJRA全10場重賞制覇となる。キングのJRA通算重賞5勝のうち3勝は堀厩舎の所属馬(AJC杯=チャックネイト、東京新聞杯&京都金杯=サクラトゥジュール)。身元引受調教師でもある同師の管理馬で4度目の美酒を味わうか。