【エリザベス女王杯】ステレンボッシュ再び飛躍!国枝師は牝馬限定G1完全制覇へ
2025年11月13日 05:26 世代を超えた牝馬の頂点を決める「第50回エリザベス女王杯」(16日、京都)の最終追い切りが東西トレセンで行われた。第38期竜王戦7番勝負の舞台となっている京都競馬場での決戦に向け、女王候補たちが好調をアピールした。栗東に滞在して調整を進める関東馬ステレンボッシュはCWコースで活気ある動き。来春に定年引退が迫る国枝栄師(69)は牝馬限定G1完全制覇が懸かる。
来春の定年解散が迫る名門・国枝厩舎。有終の美を期す秋に難局が待っていた。課せられた題目は桜の女王の復活。今年13→8→15着と沈むステレンボッシュの薄れる闘志をいかにして再点火するか。
栗東CWコースで行われた最終追い。同馬の背中には1週前追いにも騎乗したルメールの姿があった。国枝師が「ここのところ消化不良のレースが続いている。何かつかんでもらえればと思って乗ってもらった」と狙いを明かす。併走相手を大きく追走し、3秒近くあった差はみるみる縮まり4角で並ぶ形に。ゴール前は盛り返されたが、全体時計6F79秒0は自己ベスト。ルメールも「道中一生懸命走り過ぎたけど、コンディションは良さそう」と好調を感じ取った。
秋華賞エンブロイダリー、菊花賞エネルジコと今秋の関西圏G1を完封している“栗東滞在の関東馬”。長距離輸送のリスクを軽減するこの調整方法は国枝厩舎がパイオニアで、ステレンボッシュも例に漏れず、栗東に滞在した阪神JF(2着)、桜花賞(1着)、秋華賞(3着)で馬券圏内を外していない。トレーナーは「そういう成功体験に頼るしかない」と笑うが、「今日も動きそのものは良かった。カイバ食いも変わらない」と効果を実感している。
強力な援軍もいる。重要な調教パートナーを務めたのは国枝師と同じ岐阜出身の小栗師が管理するベルベルコンパス(3歳3勝クラス)。「同郷で縁があって、(開業前も)美浦の厩舎に研修へ来ていたからね」。そして、鞍上のルメールは目下JRA・G13連勝中。「絶好調だから。ルメさんにお任せ」と極上の騎手で復活星を手繰り寄せようとしている。
アパパネ、アーモンドアイと2頭の3冠牝馬を育て上げた“牝馬の国枝”。リーチが懸かる牝馬限定G1完全制覇について、師は「プレッシャーが大き過ぎて何も言えないよ」とけむに巻いたが、史上初の快挙は名門の集大成にふさわしい。打てる手は打った。名伯楽が人事を尽くして天命を待っている。
