17年の阪神JF 偶然に導かれた石橋とラッキーライラック

2025年12月12日 05:26

17年の阪神JFを制したラッキーライラック(左)

 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、阪神競馬場で阪神ジュベナイルフィリーズ(G1、以下、阪神JF)が行われる。翌年の牝馬クラシック戦線を占う意味でも重要なこのレースを、17年に制したのがラッキーライラック(栗東・松永幹夫厩舎)。騎乗していたのは石橋脩騎手だった。

 「新馬戦の時は、オルフェーヴルの子に乗るのが僕自身、初めてだったので、勝手に“ヤンチャ”なイメージを持っていたのですが、実際には凄くどっしりしている馬でした。レースぶりも良かったので“走る馬”と確信しました」

 そんな手応えの通り続く一戦も勝利し、2戦2勝で挑んだのが阪神JFだった。ここではその前の2戦よりも後ろの位置取りになった。しかし、石橋騎手は慌てなかった。行きたがるそぶりを見せた鞍下を抑え、勝負どころまで我慢した。

 「後手に回らないように気をつけながら、早めに動いてしまうこともしないように注意しました」

 道中の一つの偶然が、実際にそう乗れた要因でもあった。石橋騎手が振り返る。

 「気付いたら目の前にリリーノーブルがいました」

 リリーノーブルはラッキーライラック同様、2戦2勝。前走の白菊賞で石橋騎手はこの馬と戦っていた。

 「僕が逃げたのですが、かわされた時の勢いが凄くて、相当走る馬だと感じました」

 だから阪神JFで目の前にいると分かった時「この馬の後ろにつけよう!」と思ったそうだ。

 マークしつつ、追走すると、直線へ向き「予想通りリリーノーブルが伸びている」のが見えた。

 「そこで追うと、反応してくれました」

 ここまで来たら「勝つと2着では大違い」と考え、必死に追った。

 「生き物だから最後は気持ちが伝わると思っているので“頼む!!”という思いで懸命に追いました」

 結果、かわして3/4馬身抜け出したところがゴール。石橋騎手はビートブラックによる12年天皇賞・春以来となるG1制覇を成し遂げてみせた。

 さて、今年はどんなドラマが待っているか。楽しみにしたい。(フリーライター)

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