【有馬記念】(11)ミステリーウェイで挑む松本大輝 初の大舞台「G1なので攻めないと」

2025年12月26日 05:27

松本騎手を背に調教へ向かうミステリーウェイ

 初参戦の若手が大一番に挑む。「第70回有馬記念」の出走馬と枠順が25日、確定した。11番枠に入ったはデビュー5年目の松本大輝(23)とのコンビで参戦する。前走アルゼンチン共和国杯で逃げ切り、重賞初制覇に導いた鞍上はJRAの現役騎手では最も長身の1メートル76。競馬界の“ジャンボ”がグランプリを盛り上げる。

 自らの手でつかみ取った夢舞台。デビュー5年目の松本がミステリーウェイとのコンビで初の有馬記念に挑む。「今は自分じゃないと、このスタイルで乗れないと自信を持っている。あまり気負わず、いつも通りの自然体で挑みたい」と心境を明かした。

 年間を通して体重管理が必至の騎手は身長1メートル50~1メートル60前半が大半を占めるが、松本の身長1メートル76はJRA現役騎手で最も高い。ひときわ目を引くことから関係者の間で“ジャンボ”の愛称で知られる。この身長で体重は46キロ台。減量苦とは無縁だから凄い。

 相棒はデビュー当初から定評があったスタートのうまさを最大限に生かせる逃げ馬。初コンビを組んだ前々走の丹頂Sは道中、後続を20馬身近く引き離した独り旅。4角で距離は縮まったが驚異の粘り腰で、そのまま逃げ切った。松本は「正直、だいぶ恵まれた印象はあった」と振り返る。

 その言葉通り、前走アルゼンチン共和国杯はまだ自身も半信半疑だったが大逃げを打つと、先行勢が総崩れの苦しい展開を粘りに粘って重賞初制覇を飾った。「東京2500メートルを逃げ切るには力が必要。自分の想像以上に力をつけていた。気難しい馬だけど走る方に気持ちが向けば、なかなか止まらない」と相棒に対する印象が変わった。

 今夏以降、大手・社台ファームの馬に騎乗する機会が増えた。地道な日々の積み重ねが信頼を集めている。松本は「まさか有馬記念まで来られると思わなかった。続けて騎乗させてもらえることは素直にうれしく、感謝の気持ちが大きいです」と謙虚さを忘れない。

 関係者やファンを含め、注目を集める逃げ馬メイショウタバルとのハナ争いについては「まだ作戦は言えません」とシークレット。それでも「前走の内容から、もう一つ攻めた騎乗ができるし、G1なので攻めないと駄目だと思っている」と意気込んだ。今年の有馬参戦ジョッキーの中で最年少の23歳。若手らしい思い切った騎乗でグランプリを盛り上げる。

 ◇松本 大輝(まつもと・ひろき)2002年(平14)10月11日生まれ、滋賀県出身の23歳。父・達也氏は元騎手、元調教助手。21年3月に栗東・森秀厩舎所属でデビュー。ミステリーウェイと挑んだ11月9日のアルゼンチン共和国杯で重賞初制覇を飾った。JRA通算1749戦91勝。1メートル76、46キロ。思い出の有馬記念はオルフェーヴルがラストランで有終の美を飾った13年。当時、小学生で「本当に凄い馬だと思った」と振り返る。

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