ミッキーゴージャス復帰 初勝利は深谷助手初の美酒に

2026年2月4日 05:29

ミッキーゴージャスと担当の深谷助手

 日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は大阪本社の入矢美奈が担当する。初めて任されるにあたり、テーマを「初」に据えた。今週の東京新聞杯に挑むミッキーゴージャスにまつわる「初」。疝痛(せんつう)による休養から復帰2戦目で勝利した昨秋のキャピタルSは担当する深谷泰生助手にとっても初勝利だった。私にとっても決して忘れることのない、「初」をしたためた。

 泣くつもりはなかった。それでも、あふれる涙を止めることができなかった。24年6月のマーメイドS13着後、疝痛による1年3カ月の休養を挟んだミッキーゴージャスは復帰2戦目のキャピタルSで勝利を飾った。長期休養中はガリガリで競走馬として戻れないんじゃないかと不安もあった中、牧場関係者と獣医師、総力を結集してたどり着いた復活劇。担当する深谷助手にとってもトレセン入りし、1年後に味わった初めての美酒だった。

 「結果を知ったのは検量室前でした。涙が自然と出てきました。自分がやっていることに不安を感じる日もあったが、ようやく結果につながったんだと」

 トレセンで働きたいという強い思いを持って、24年11月に安田厩舎に足を踏み入れた。幼少時は騎手を志すも狭き門を突破することはできず断念。夢はトレセンで競走馬を育てる助手にシフトした。実家は引退した競走馬をけい養し、伝統ある時代祭や葵祭で活躍する馬を管理する牧場を経営。幼少時から馬との生活に慣れ親しんでおり、馬に関連する仕事に就くのは自然な流れだった。3兄弟の次男は中内田厩舎で助手、長男は兼業で実家の手伝いをしている馬好き一家だ。

 とにかく馬への愛があふれている。「この仕事が好き」ときっぱり。大学卒業後、牧場で経験を積み、満を持してトレセンへ。もちろん現実は甘くなく、初勝利まで1年の月日を費やしたが、歓喜の瞬間を迎えることができた。「無事にレースに送り出して、無事に帰ってきてくれるだけでほっとします。勝った時の喜びを知ると、こんなにもやりがいがあるんだと思います」。史上最年少ダービー調教師である安田師も資質を評価する。「向上心はあるよ。こういう人が増えてほしいと思う取り組みをしている」とした上で、「技術が伴えば、もっと成長できる」と注文を付け加えることも忘れなかった。

 ミッキーゴージャスは私にとっても思い出がある馬だ。競馬記者に求められる的中という2文字…。キャピタルSでミッキーゴージャスを本命にし、3連単的中が初めて新聞に当たり見出しとして大きく載った。そして父ミッキーロケットは私にとって人生初の当たり馬券(18年宝塚記念7番人気V)となった、忘れられない馬でもある。

 さらなる高みを目指すべく、今週8日の東京新聞杯で24年愛知杯以来、2度目の重賞獲りに挑戦する。キャピタルS後は暮れに1戦(阪神C9着)し、中5週でここへ。深谷助手は「一度放牧に出して馬体に余裕が出て、調教を積むごとに動けるようになり、グッと良くなった印象」と前進気勢をアピール。そして自身は初の重賞制覇のチャンスが巡ってきた。その景色はどのように映り、どんな高揚感が待っているのだろう。夢へのストーリーはまだ序章に過ぎない。

 ◇入矢 美奈(いりや・みな)1993年(平5)9月21日生まれ、大阪府出身の32歳。関大卒業後、会員制ホテルに勤務。18年スポニチ入社、7年半のレイアウト担当を経て25年10月から競馬担当。

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