岩部純二 33年目の決断 栗東で再起へ 横山典に相談、昆厩舎と縁取り持つ
2026年3月26日 05:10 日々トレセンや競馬場など現場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は栗東取材班の坂田高浩(41)が担当する。13日に美浦から栗東への所属変更を行った岩部純二(50)を取材。デビュー33年目にして拠点を移した経緯、意気込みなどを聞いた。
デビュー33年目の大きな決断だった。美浦で長らく騎手生活を続けてきた岩部が13日に栗東に所属変更。1月下旬から栗東で精力的に稽古をつける姿が見られ、このタイミングで正式に拠点を移した。「数年前から来たい気持ちを持っていました。なかなか踏ん切りがつかなかったんですが、お世話になっている萱野先生らにも承諾していただき、環境を変えようと思いました」と経緯を説明。「1カ月くらいは(競馬学校同期で元騎手、現調教師の)渡辺薫彦君に紹介してもらった宿泊先で過ごして先日、家族で引っ越してきました」と続けた。
拠点を移すと決めて相談したのは尊敬する先輩騎手の横山典だった。「美浦の時から良くしていただいています。(横山典に言われたことは)甘いものではないけど、こっちの方がチャンスはあるかもしれない。だから諦めないで、その後は自分次第とおっしゃっていました」。アドバイスが身に染みて覚悟が決まった。「軽い気持ちで来たわけじゃなく、来たからには、という思いは強いです」と意気込んだ。
勝ち星からは2年近く遠ざかっている。直近は24年5月の3歳未勝利戦だ。騎手としては苦しい現状でも「このまま辞めるのは嫌でした。競馬を見ていても乗りたい気持ちがあります。これはうまく乗った、と思える瞬間もあります。やれることはやりたい」と心は折れていない。これまでに印象に残った馬を1頭、挙げてもらうと「(自身が騎乗して16年新潟2歳S2着の)オーバースペックです。いい馬。重賞を勝てた馬だと思います」と回顧。「これは、という馬に出合えるとこうしよう、ああしようと楽しみが出てきます。それが面白いのかもしれません」と前を向いた。
栗東では昆厩舎の馬を中心に稽古をつけている。「横山典さんが昆先生にお願いしてくれたみたいで。僕もびっくりして凄くうれしかったです」と感謝しきり。日々の調教でも勉強になることは多い。「昆先生に(勾配のある)逍遥(しょうよう)馬道でも、歩き方の工夫次第で全然違うと教えていただいて」と充実感をにじませる。昆師は「俺は真っ白にプロの騎手として接するだけ。また(美浦に)帰ってこいよ、と言われるくらいになってほしい」と期待を寄せる。1日の阪神1勝クラス(芝1800メートル)は昆厩舎のウィテカービートに騎乗し、14番人気2着。「(横山典に)うまく乗ったな、と言ってもらえました」と好走をかみしめた。
すぐに結果につながるとは思っていない。「やれることを少しずつ。いろいろな人に支えていただいているので、酒を飲んでバカなことをしている場合じゃない」と力を込めた。栗東で再起へ――。ゼロからスタートの心構えで信頼を積み重ねていく。
◇岩部 純二(いわべ・じゅんじ)1976年(昭51)3月25日生まれ、北海道出身の50歳。94年3月に美浦・成宮明光厩舎所属でデビューし、同年5月8日の東京6R(ミヤマビゼン)でJRA初勝利。JRA通算4910戦159勝。1メートル65、51キロ。血液型O。
