【高松宮記念】いざ有終へ!ナムラクレア悲願G1初制覇だ 坂路で美し加速ラップ11秒6
2026年3月26日 05:30 ハッピーエンドの準備は整った。「第56回高松宮記念」の追い切りが25日、東西トレセンで行われ、ラストランのナムラクレアは長谷川師を背に栗東坂路単走で抜群の動き。3年連続2着に敗れた舞台で悲願のG1初制覇を目指す。美浦Wコースでは三浦騎乗のウインカーネリアンが9歳とは思えない活気を見せつけた。昨秋スプリンターズSで波乱の主役となった古豪が秋春スプリントG1連勝を狙っている。
泣いても笑ってもこれが最後。ナムラクレア25度目の最終追いは坂路で単走。長谷川師を背にうなるような手応えで駆け上がってきた。刻まれたのは15秒4→13秒8→12秒2→11秒6と美しい加速ラップ。師は「雰囲気は非常に良かった。申し分ない動き」と報告する。この中間は「フィジカルのパンプアップ」を目的に、坂路2本のインターバル調教を取り入れるなど攻め量を強化。青鹿毛の馬体は見る者を圧倒するオーラをまとっている。
力が衰えたからターフを去るわけではない。クレアを筆頭に活躍馬を出し続けた母サンクイーン2が昨春、この世を去った。名血をつなぐこともクレアの宿命。「オーナー、牧場にとっては宝のような存在。彼女には次の仕事が待っている」と師。年5走のペースを守って丹念に育てられた無事是名馬。「気持ちが折れても仕方がないようなレースも経験したけど凄い馬だった。2歳からこの年まで能力を維持できているのは彼女の才能」とキャリアを振り返る。7歳牝馬がG1を勝てば16年ヴィクトリアマイルのストレイトガール以来2頭目。それが初制覇となれば史上初の快挙だ。
ラストランの舞台には3年連続2着の高松宮記念が選ばれた。手綱は2歳から苦楽を共にした浜中に託される。「もう乗れないかもしれない」と覚悟もしていた37歳。24年8月のキーンランドC(5着)以来のタッグ復活に「オーナーをはじめ、長谷川先生、厩舎スタッフ皆が“クレアにG1を”という思いでやってきた。ここが集大成。その気持ちを背負ってレースにぶつけたい。僕も一ファンとしてG1を勝ってほしいと思っている。勝たせたい」と切実に言葉を紡ぐ。
後輩の重圧を背負い込む生真面目さを知る長谷川師は「緊張しないで、浜とクレアで楽しんで走ってもらいたい。スタッフの皆も浜が大好きなので」と背中を押す。担当の疋田厩務員も「こちらと同じ熱量で戦ってくれる」と信頼は揺るがない。クレアが過ごす馬房の近くには大量のお守りが飾られている。悔し涙を何度も流した分、応援するファンは日に日に増えていった。トレーナーは「最後のゴールは前に馬がいなければいいな」と穏やかに笑う。競馬を愛する誰しもが、うれし涙の大団円を待っている。

