【ダービー】ロブチェン 2冠OK 毛ヅヤ抜群、キ甲も成長 父譲りの中長距離体形
2026年5月26日 05:26 ロブチェン山の頂に2冠タイトルが見えた。鈴木康弘元調教師(82)がG1有力候補の立ち姿を診断する「達眼」。今週はダービースペシャルとして出走全馬を5つのチェック項目(各20点満点)で採点、皐月賞馬ロブチェンをトップ評価した。達眼が捉えたのはキ甲の成長と父ワールドプレミア譲りの中長距離体形だ。
今年のダービーは皐月賞のダメージを取り切れるかが最大のポイントです。皐月賞のレース解説ではそう述べました。中山2000メートルのコースレコードを0秒1更新するような硬い馬場で死力を尽くしたばかり。発展途上の3歳馬には少なからず負担がかかった。ところが、ロブチェンにはダメージのかけらさえ残っていない。はち切れそうな筋肉、たくましい腹袋。サラブレッドの疲労度を測るバロメーターは腹周りです。疲れがたまると、カイバ食いが落ちて腹が細くなりますが、この皐月賞馬の適度に引き締まった腹は実に力強い。
新陳代謝のバロメーターになる毛ヅヤも抜群。黒鹿毛の毛ヅヤは良く見せるものですが、それにしても素晴らしい。皐月賞時には腹下に残っていた冬毛が奇麗に抜けて漆黒の光沢を放っています。
成長のバロメーターであるキ甲も発達してきました。皐月賞時はキ甲が尻よりも明らかに低い位置にありましたが、その高低差が詰まっています。1カ月半の間にキ甲が徐々に抜けてきたからです。馬名の由来となったモンテネグロ(旧ユーゴスラビア)のロブチェン山。標高1749メートルのこの名山の頂のようにキ甲が屹立(きつりつ)するのはまだ先ですが、着実に成長カーブを描いています。
皐月賞時にも紹介した通り、海(コトル湾)と陸(バルカン半島)に接しているロブチェン山は海洋性気候と大陸性気候双方の影響を受けています。ロブチェンの馬体も父と母の父双方の影響を強く受けている。骨格は父ワールドプレミア譲り。競走馬時代の父についても当時の馬体診断で言及しましたが、各部位のつながりに遊びがある中長距離体形です。ロブチェンも同じ。各部位がゆとりを持ってリンクされ、背中には遊びがある。背中に余裕がないと疲れがたまりやすく距離延長に対応できませんが、この背中なら心配ない。
豊富な筋肉量はアイアンホース(蒸気機関車)と呼ばれた母の父ジャイアンツコーズウェイ譲り。肩から上腕、前腕にかけての筋肉量が凄い。トモの筋肉もボリューム満点。トモのパワーを推進力に変える飛節も特大。鉄の大車輪を回転させて加速する蒸気機関車のようなパワーにあふれた馬体です。
顔つきも申し分ない。スタッフの上げた右手に目、耳、鼻先を集中させ、ハミは強からず弱からずの適度な受け方。唯一、気になるのは、気持ちが少し入り過ぎた立ち姿です。「表情&姿勢」の採点項目で1点減点としました。4角からスタートする皐月賞とは異なり、ダービーは正面スタンド前からの発走。大観衆の前で落ち着いてスタートできるか。最初のコーナー(1角)に入るまでの走りが2冠の成否の鍵になります。(NHK解説者)
○…ロブチェンの父ワールドプレミアは19年菊花賞、21年天皇賞・春を制した。母の父ジャイアンツコーズウェイはアイルランドのA・オブライエン厩舎に所属、3歳時の00年に英愛G15連勝、欧州年度代表馬に輝いた。
◇鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の82歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長。JRA通算795勝。重賞27勝。19年春、厩舎関係者5人目となる旭日章を受章。
