レイクヴィラFでリードホースとして活躍中、32歳名牝メジロドーベルを支える女性スタッフ

2026年8月19日 05:20

メジロドーベルを担当する的野さん

 日々トレセンや競馬場で取材を続ける記者がテーマを考え、自由に書く東西リレーコラム「書く書くしかじか」。今週は東京本社・後藤光志が担当する。先日の夏企画「夏色思い」でリードホースとして活躍するメジロドーベルの現在の様子を紹介。今回は同馬を担当する的野裕紀子さんのホースマン人生にスポットを当てる。

 現役時代にG1・5勝を挙げたメジロドーベルは現在、レイクヴィラファーム(北海道洞爺湖町)でリードホースとして活躍している。そんな名牝を支えているのが担当の的野さん。「最初は群れの中の序列が高かったそうですが、私が知っているのは序列が下がってからの姿。初子のメジロヒラリーが気が強い馬で、繁殖に上がってから親子げんかをしたらしく、ドーベルが負けたそう。そこで“陥落”してしまったと。でも子育てはめちゃくちゃ上手。手がかからなかったです」と述懐する。

 的野さんは大阪府出身。競馬好きだった母の影響でサラブレッドの魅力に取りつかれた。「母が今で言う“馬女”で、一緒に競馬を見に行っていました。好きだった馬はノースフライト。小学生の時にはカメラを持って京都競馬場に追っかけてました。マイルCSとかは(現地で)見てましたね」。ホースマン人生を志したのも、この時の経験がきっかけ。当時、同馬を担当していたのが京大卒の女性厩務員として注目を浴びた石倉幹子さん。的野さんも、その仕事ぶりに目を奪われた。「馬の仕事って女性でもできるんだと。あの仕事をやりたいと思ったところから始まりました」。

 高校入学前に家族で北海道へ移住。「絶対、馬術部がある高校に入ろうと思って」浦河高へ進学した。「浦河高校は人より、馬の方が多いよと言われたので。いっぱい馬に乗れるなと思った」。同校卒業後は浦河にあるBTC(軽種馬育成調教センター)で研さんを積んだ。成績上位者による3カ月間のアイルランドでの研修にも参加。勉強の日々を送った。その後、19歳でメジロ牧場へ入社。「入ったタイミングがメジロルルドという(ドーベルの)2番子が生まれた年。担当になったのはドーベルが18、19歳くらいの頃ですね」。運命とは不思議なもの。「高校の時はドーベルも見ていたんですけど、エアグルーヴが好きでしたね(笑い)」。2頭は現役時代に5度対戦。不思議な“縁”に導かれて、かつての“推し”としのぎを削ったライバル馬の担当として汗を流している。

 そんなドーベルも御年32歳。「近年、入社した若手のスタッフは皆、ドーベルより年下なので“ドーベルさんの放牧どうしますか”と、敬語を使うんですよ」と、ほほ笑ましいやりとりを明かす。同馬が普段、過ごしている馬房にはファンから届いたプレゼントも飾られている。「お守りや、誕生日にお花が届きますね。お花は食べちゃうんで全然、飾れないですけど(笑い)」。周囲の温かいサポートを受け、自らの役割を全うしているドーベル。「(馬名に)メジロとつかない馬も増えてきてますけど、何とかうちの血統の子は残したいという思いはありますね」。血統、牧場の繁栄を願って的野さんは愛馬たちを支えていく。

 ◇後藤 光志(ごとう・こうし)1995年(平7)12月8日生まれ、愛知県出身の30歳。中大文学部を卒業後、20年にスポニチ入社。24年4月から競馬担当。

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