【追憶の柴田善臣 G1・2勝目】93年天皇賞・秋ヤマニンゼファー「いい馬に巡り合え…」

2026年9月15日 16:05

93年、第108回天皇賞秋でゴール前300メートルからの壮絶な競り合いは柴田善臣騎手のヤマニンゼファー(右)が田中勝春騎手のセキテイリュウオーを鼻差かわし初の天皇賞制覇

 JRA騎手の柴田善臣(60)が15日、現役引退を表明した。デビュー42年でJRA・G1勝利は9回。当時の“ヒーロー原稿”をもとに振り返る。G1・2勝目は93年の天皇賞・秋。ヤマニンゼファーとのコンビだった。当時のスポニチ東京版はフロント面で勝利を伝えた。(馬齢は現在の表記)

1着 ヤマニンゼファー  牡5 58柴田善
2着 セキテイリュウオー 牡4 58田中勝
3着 ウィッシュドリーム 牡4 58藤 田

 手に汗にぎる死闘とは、まさにこのことをいうのだろう。盾舞台・府中の杜の東京競馬場。栄光の天皇賞馬へと続く直線500メートルでその激闘は繰り広げられた。

 逃げたツインターボのエンジンが止まり一団となった馬群が4コーナーを回る。その中から抜け出した柴田善・ヤマニンゼファー。するともう1頭、外めから白い帽子の田中勝・セキテイリュウオーが猛然と追い出した。

 ゴール前300メートル。この2頭がぴたりと馬体を合わせての激しい叩き合いだ。セキテイリュウオーが一度かわした。しかし、ヤマニンゼファーがもう一度食い下がる。勝利というたった一つの真実へ突き進む2人の若武者の必死な姿に17万の大観衆は酔いしれた。

 あと200メートル。あと100メートル。50メートル…。どちらも譲らない。どちらもあきらめない。「ヨシトミだ」「いや、カツハルか…」。17万人の興奮のボルテージが頂点に達した時、2頭は文字通り鼻面を並べてゴールへ飛び込んだ。

 長い写真判定。そして、勝利の女神はヤマニンゼファーにほほえんだ。「本当にうれしいです。まだまだと思っていたビッグタイトル。いい馬に巡り合えてプレゼントしてもらったようなもの」と振り返った。また、栗田(博憲)師も「昨年に続いて今年の安田記念を勝った時から天皇賞挑戦を考えてきましたが、ゼファーがよく応えてくれました」と興奮気味に喜びを語った。

 未知の距離2000メートルを克服して天皇賞馬となるととともにG1・3勝目を挙げたヤマニンゼファー。獲得賞金も5億5800万円余となり、メジロマックイーン引退後の現役賞金王の座についた。

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