凱旋門賞馬ダリズ連覇へ視界良好!グラファール師「体調は凄くいい」ヴァランディールも「良くなっている」
2026年9月30日 00:45 芝12F路線におけるフランス最高峰の一戦「第105回凱旋門賞」(G1、10月4日、パリロンシャン芝2400メートル)が目前に迫った29日、昨年の覇者ダリズ(牡4、父シーザスターズ)を管理するフランシス・アンリ・グラファール師(49)が馬主であるアガ・カーン・スタッズのレーシングマネジャー、ネモネ・ルース氏とともにフランスギャロ主催の公式記者会見に臨んだ。
ディフェンディングチャンピオンであるダリズとニエル覇者ヴァランディール(牡3、父ザラック)を送り出すグラファール師は2頭の仕上がりに絶対の自信を見せた。アガ・カーン・スタッズにとっても初の連覇への期待は最高潮に高まっている。
今シーズンの主役を張り続けるダリズ。ガネー賞、アガカーン4世賞を連勝し、前哨戦のフォワ賞も快勝。唯一の敗戦は2走前のプリンスオブウェールズSの3着のみという安定感だ。1921&22年クサール、36&37年コリーダ、50&51年タンティエーム、55&56年リボー、77&78年アレッジド、2013&14年トレヴ、17&18年エネイブル以来、史上8頭目の凱旋門賞連覇へ。会見でグラファール師はこの日、シャンティイで行った最終追い切りについて「4頭で走ってダリズは一番、後ろからスムーズに進み、楽にフィニッシュしました。まさに望んでいた調教で追い切り後の息遣いも荒くなかったし、順調ですよ」とうなずいた。騎乗したミカエル・バルザローナ(35)の感触も良く、師は「ミカエルは非常に満足そうでした。シャープな動きで前走から良くなっていると感じてくれたことが良かった。前走後、回復に充てる期間があったけど、それ以降は楽をさせてはいません。なぜなら凱旋門賞に出るからには100%の状態でないといけないからです。最後の15日間はストレスがかかる過程と言えるでしょう。先週の追い切りと、特に今朝の追い切りは重要でした。全てが順調に進み、いい状態で戻ってきたので、あとはレース当日まで維持するだけですね」と完璧な仕上がりに手応えを感じている。
今年に入ってから決して平たんな道のりではなかった。「彼は元々、個性が強く、気性的に難しさがありました」と明かす。しかし、その個性が成長とともにいい方向へ作用しているようだ。「4歳の去勢されていない牡馬を現役続行させる際の課題は気性の難しさを出さず、走ることに集中させ続けなければなりません」と馬との向き合い方を強調する。そこで調教パートナーの変更という手を打った。「乗り手に対してダリズが優位に立ち始めていたため、乗り手を変更しなければなりませんでした」。新たな調教役として指名されたのはベテランのジャン・フィリップ・ブレスラー氏。「彼は豊富な経験を持ち、馬を修正し、仕事をさせ、馬が彼を尊敬するように仕向ける方法を知っていました。全てはすぐに正常に戻りました」と、この決断がダリズの集中力アップにつながったと説明した。ブレスラー氏は10月1日に引退予定だったが、この重要な局面を前に引退を延期。そのプロ意識と馬への情熱が、ダリズを最高の状態に引き上げる一助となっている。
凱旋門賞の勝敗を左右すると言われる馬場状態。しかしグラファール師は「ダリズはペースが速ければ速いほど、いい走りをします。なぜなら彼は驚異的な加速力を持っているからです」と本質的な強さを強調した。昨年、軟らかい馬場(重)を克服して勝利したことについても「彼は馬場が向いて凱旋門賞を勝ったわけではありません。単に彼が非常に優れた馬だからです」と語り「いい馬場の方がしまいは脚を使えるはず」と馬場不問の適性をアピールした。
これまで手がけた数々の名馬の中でも、ダリズは特別な存在だという。「特にガネー賞とアガカーン4世賞は感銘を受けました。体格と加速力という点で、私がこれまでに調教した中で最高の馬だと思います」と、その能力を最大限に評価した。
レーシングマネジャーを務めるネモネ・ルース氏はダリズを4歳になっても現役続行させた経緯について「全員が現役続行に同意したので、すんなり決まりました」と明かす。「昨年、彼はシーズンを通して成長し、凱旋門賞の日には成熟期に達したと感じました」と回顧。「フレッシュで、遅く(5月2日)に生まれた大きな馬。(昨年、凱旋門賞を制して)ようやく私たちが期待したレベルに達したのです。なぜすぐに種牡馬にするのでしょうか?」と、その高い潜在能力を信じての決断だったことを強調した。
2走前のアスコット(プリンスオブウェールズS)の敗戦についても言及した。「なぜ彼があの日、本来の走りができなかったのか(敗因を)つかめています。体調面で良化の余地を残す仕上がりでも3着に食い込みました」と決して力負けではなかったと振り返る。「彼は驚異的な加速力を持つ、多才な馬であることを誰もが知っています。距離適性の幅も広く、私たちにとってチャンピオンです」と絶対的な信頼を置いている。
アガ・カーン・スタッズは凱旋門賞8勝の記録を持つが、これまでに連覇を達成した馬はいない。「アガ・カーン・スタッズでは凱旋門賞の連覇に挑戦した馬はいませんでした。凱旋門賞に出走し、勝利した馬は全て翌年、現役を続行しませんでした。ですから、これは私たちにとって新たな挑戦です」とルース氏は歴史的快挙への挑戦を前に、興奮を隠せない様子だ。「この連覇は途方もない挑戦です。それが非常に難しいことは知っています。不思議なことに、連覇を達成した牡馬や馬は多くありません。牡馬(アレッジド)が連覇を達成してから50年になります」と、その難しさを認めつつも「しかし、私たちは彼を信頼しています。彼はこの連覇を達成するために必要な全ての資質を備えています」とダリズの能力を高く評価した。
凱旋門賞後のプランについては「いくつかの選択肢を残しています。これが彼の最後のレースになるかは分かりません」と含みを持たせる。「全ては日曜の結果を見てから年内に再びレースに出走させるかどうかを決めます。もちろん、それは海外になるでしょう。なぜなら、フランスでは凱旋門賞後に彼が出走できるレースは他にないからです」と遠征の可能性を示唆した。
グラファール厩舎のもう一頭、ヴァランディールも侮れない存在だ。師は「ヴァランディールは精神的にも肉体的にもかなり未熟でした」とデビュー当初を振り返る。しかし「夏の間には彼に大きな変化が見られました。肉体的にも精神的にも柔軟になり、今ではより良くなっていると思います。彼は本当に進歩している」と、その急成長ぶりを強調した。前哨戦のニエル賞を快勝したことで、凱旋門賞への出走を確実にした。「凱旋門賞の前哨戦を勝ったばかりの3歳馬であり、まだ成長途上にあります。彼はチャンスを得るに値し、競争力があります」と力強くコメントした。
ダリズとヴァランディール、どちらが優勢かという質問に対し、ルース氏は「個人的に現時点ではダリズがヴァランディールより優れていると思います」としながらも「ヴァランディールは急速に成長しているし、負担重量の面で有利なので」と3歳馬の魅力を語った。さらに「彼はまた、私たちの種牡馬の一頭であるザラックの産駒ですから」と血統背景からも出走の意義があることを付け加えた。
グラファール師も「3歳馬が古馬とこの距離で対戦します。そして、3歳馬が強い世代なのかどうかを見ることができます。それが凱旋門賞が特別なレースである理由です」とヴァランディールが挑戦者として大舞台でどこまで通用するのか、楽しみにしている様子だ。ダリズにはバルザローナ、ヴァランディールにはクレマン・ルクーヴル(28)が騎乗することも明かし、アガ・カーンの勝負服2頭出しで今年の凱旋門賞に大きな話題を提供することは間違いない。
