丹内“誰にも渡したくない馬”/京成杯
2008年1月16日 06:00 無敗の素質馬とケガを乗り越えた若武者が飛躍のときを迎えた。「京成杯」(20日、中山、G3)で重賞初制覇にチャレンジするのが2戦2勝のアイティトップと丹内祐次騎手(22)。底を見せぬパートナーとともに、あこがれの重賞お立ち台、その先のクラシックへ夢を追いかける。
アイティトップは予想をはるかに超えた大物かもしれない。好位を進み、坂を上がって差し切ったデビュー戦は勝ち時計平凡。続く寒竹賞で7番人気に甘んじたのも仕方なかった。だが、そこで見せたパフォーマンスは重賞級だった。「斜めにスタートした感じ」(丹内)で完全に後手。だが道中は完ぺきに折り合い、外から進出、直線でまとめて差し切った。上がり3F35秒5はメンバー中1位。同2位のリネンホークが36秒5、ライバルが止まって見えるほどだった。
「収穫の多いレースだった」。矢野照師も確かな感触を得ている。「早めに動き始めても最後までバテずに伸びる。母トウキュウアビーもいいところまでいった(5勝)からデビュー前から期待していたんだ。とにかく心臓がいい。スタミナがとりえだ」。同師にとってはシャコーグレイド(91年皐月賞2着)、マーベラスタイマー(97年水仙賞)以来となる、クラシックの夢を託せる器だ。
夢を託すのは主戦・丹内も同じ。「この馬を狙っている人はいっぱいいる。勝たなきゃどこかに行っちゃう。勝ち続けなきゃいけない」。一戦必勝への決意がにじむ。「前走は想像以上。あんなにいい脚を使うとは思わなかった。折り合いに問題はないし、いい自信になった。このメンバーなら何とかならないかな」。トレードマークの笑顔がはじけた。
ここ数年は苦労した。06年8月に新潟で落馬、右上腕骨骨折の重傷を負った。実戦復帰に10カ月を要し、翌年8月4日、同じ新潟で約1年ぶりの復活白星を挙げた。持ち前の笑顔がようやく戻った。「もっとたくさん馬に乗りたい。ケガをして、馬に乗る喜びを痛感しましたから」。どん底からはい上がって風向きも変わった。実はアイティトップのデビュー戦には別の騎手が騎乗予定だったが除外。翌週、丹内の手元に転がり込んできた。「復帰して、こんなに早くいいことが回ってくるとは思わなかった。運がある。今回も思い切って乗ってきます」。勝ってクラシックの夢舞台へ。丹内はさわやかに決意を語った。
◆丹内 祐次(たんない・ゆうじ)1985年(昭60)11月5日、北海道生まれの22歳。04年に清水美厩舎からデビュー。同期は吉田隼、川田、藤岡佑ら。同年4月10日、スピードタイガーで初勝利。昨年11勝、通算58勝(重賞3戦0勝)。1メートル65、47キロ。血液型O。
