武と花道飾る!!サムソン劇的復活仕様/有馬記念
2008年12月25日 06:00 ラストランへV態勢が整った。有馬記念(28日、中山競馬場芝2500メートル)の追い切りが24日、美浦、栗東トレセンで行われ、メイショウサムソンがしぶとい伸び脚を披露。過去2回の同レース出走時を上回る気配で、武豊騎手(39)を背に有終の美を飾る勢いだ。
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数々の復活劇を生んできた有馬記念。今年その“資格”を有するのはメイショウサムソンをおいてほかにいない。G1を4勝した名馬の引退戦。「思い残すことがないように、やれることをやりたい」。高橋成調教師は穏やかな表情の中にも、確固たる決意をにじませた。
24日の追い切りは栗東のDW(ウッドチップ)コースでメイショウカーター(5歳500万条件)と併せ馬。直線はムチを入れられ、手綱をしごかれ、何とか首差ほど先着した。見た目にはバタバタした印象だが、理由はある。サムソンに騎乗したのは体重約65キロの丸山調教助手。40キロ台の難波騎手が乗った併走馬に対して大きな“ハンデ”があった。同師は「併せた相手は調教で走るし、追い掛ける形だったので、あのくらいで上等」と納得の表情。もちろん「前走より絞りたい。まだまだ余裕のある格好で来ているので(輸送の)前日(26日)にちょっとやれれば」とレース直前まで究極の仕上げを目指す。
有馬記念は3年連続3度目の挑戦だが、体調は今年が一番だ。師は「昨年より断然、元気がいい。馬体の張りも毛ヅヤもいい」と胸を張る。3歳の06年は菊花賞、ジャパンCなど秋4戦目で5着。天皇賞・秋を制し、ジャパンCでも3着した昨年は本来の先行力を示すことすらできずに8着に敗れた。ともに激闘続きで余力がなかったことが敗因。今年は凱旋門賞に遠征したが、「フランスに放牧に行ってきたという感じ」(同師)。天皇賞・秋を自重、ジャパンCでひと叩きして臨む理想的なローテーションとなった。今年未勝利ながら、ファン投票では3位。同師は「ラストランということで大きな支持も受けた。なんとかサムソンに勝たせてあげたい」と言葉に力を込めた。
鞍上は右腕尺骨骨折から先週21日の朝日杯FSで復帰したばかりの武豊。有馬記念でオグリキャップ、ディープインパクトなどを有終Vに導いてきた天才は「勝つときは持ったきりでグイグイ上がっていく馬。そういう形になればいい。引退戦と強く意識して乗る。次のある馬とは違うから、印象に残るレースをしたい」と、当日は1鞍だけの騎乗で全力投球を約束した。豊がサムソンの花道を飾り、サムソンが豊の復帰を祝う。そんな出来過ぎなシナリオも、このコンビなら決して夢物語ではない。