キッツの性格は「人間が大好きで親和性が強い」

2010年8月30日 10:20

 ウマドル桜井聖良が、オーストラリア遠征を断念したマイネルキッツを緊急レポート。第1弾では、現在の陣営の心境を聞いた。第2弾は、ステイヤーとして覚醒したわけを取材。第3弾では、普段の性格などに迫った。

馬が最優先だから 豪遠征断念マイネルキッツ陣営の思いとは…(競馬)

松岡の進言で決まったマイネルキッツのステイヤー路線(競馬)

 松岡騎手の進言によりステイヤーとして開花することができたマイネルキッツ。レポート第3弾では、能力もさることながら、精神力もものをいう長距離戦で才能を開花したキッツの性格について、担当の奥村調教助手にうかがいました。

―普段はどんな子なんですか?

奥村「基本的に人間が大好きで親和性が強いです。敵対心や警戒心を人間には全く持っておらず、人間がいることもすごく受け入れるし素直に聞いてくれます。ただすごく敏感な部分があるから、昔からそうなのですが飛び乗りが出来ないんですよ。飛び乗りはさせない。そんな変わった一面というか敏感な部分を持っています。ただ基本的な部分は人間に対して優しい馬ですね。親切だし協力的ですからね。言うことを聞かないってことは全くないですし、なんでもそうなんですか、わかりましたと聞いてやってくれる馬ですね」

―お利口さんですね。私のキッツの印象は、パドックや本馬場入場時にいつもキョロキョロしているお馬さん(笑)

奥村「いっつもキョロキョロしています。心ここにあらずという感じで、並足で運動をしていても体よりも100メートルぐらい前にいつも気持ちがいっている感じです」

―どこにいってもそうなんですか?

奥村「かわいいですよね、昔からそうなんですよ。同じところに行っても見渡して『なんだここ!どこだ!?』みたいな。『おまえ来たでしょ?昨日』みたいなね(笑)いつも何ここ?どこ?あれ何!?みたいな顔をするんですよ。でも別にそれに怖がって進んでいかないということは全くないんですよね。馬の割には視覚をよく使っている。耳だけで物を拾うんではなく、目で確認する。めずらしい馬だなと思います。ただこの馬は基本的に人間に協力的なんですが、毎日同じ治療をされるのは嫌なんですよ」

-それは日経賞を勝ったあとに、今年の天皇賞・春への中間に蓄膿症になった時も?

奥村「はい。蓄膿症を発症したあの頃、獣医さんを見ると逃げ回っていました。でも治療をしないと鼻も良くならないですし、しょうがないことなのはわかっているのですが、毎日すごく馬にストレスをかけていたと思うんです。ストレスをあれだけかけていて、正直、このストレスに負けるなと思っていました、今回の天皇賞・春。」

―結果は2着。不安を一蹴しましたね。

奥村「はい。すごく強い競馬を見せてくれて、でも最後に差されちゃって負けちゃったでしょ?あの結果を見ると『もし順調にいっていたら…』って思っちゃいますよね。そう思うと、馬に借りを作っちゃったな、申し訳ないなとすごく思いました」

-それにしてもかっこいいレースでした!

奥村「そうですね。本当にこの馬を応援してくれている人はみんな、今年の天皇賞・春のレースは格好よかったと言ってくれて・・・。私達と同じ気持ちで見てくれているんだなと感じました。嬉しかったですね」

-去年の天皇賞春を勝った時は、枠に恵まれたとか、展開に恵まれたとか、偶然だとか、ラッキーだったとか、そういう判断の人が多かったですよね。

奥村「そう言われ続けてきて、俺達はすっごい悔しい思いをしていましたからね。だから今年の日経賞は絶対に負けないぞ!と思っていました。あの日経賞を勝った時は本当に「どうだ!?」という気持ちだったよ。相当悔しかったですからね。」

-関係者の方が馬を信じ続けて、結果が出た瞬間の気持ちって、その関係者の人しか味わえない気持ち、感動ですよね。

奥村「そうそうそう。天皇賞春を勝った馬が日経賞を勝ったことって、はたから見たらそこまで大したことでもないのかもしれません。でも日経賞が終わった直後、涙が出そうになるぐらい本当に嬉しかったです。」

-今までの悔しかった想いが溢れますよね。では最後にキッツファンの方々に何かコメントをお願いします。

奥村「いつも人気にならないけど、いるのかそんなにファン(笑)いつも人気にならないぞ(笑)」

-いますよ、隠れてるだけですよ(笑)

奥村「あ、そっか(笑)でもその割にはいつも馬券が売れていないけどなぁ(笑)一番人気とかになったことがないからねーこの馬。みんな馬券買ってください(笑)でも本当にね今年の天皇賞・春を見ていいレースをありがとうとか気持ちが温かくなる言葉をたくさん頂けて嬉しかったです。これからも子供みたいに可愛いキッツをどうぞよろしくお願いします」

マイネルキッツの能力を誰よりも信じ続けていた奥村調教助手。そして去年手にした天皇賞・春制覇。その結果を偶然と言われて悔しかったのは、キッツを我が子のように思うからこその気持ち。札幌記念の本馬場入場の際も「またキョロキョロして。あいつにはラチ沿いを優雅に歩かせてお客さんに見せるってことは出来ないなー。何でも興味津々だから。まったくしょうがないなぁ」と笑いながら愛情たっぷりな目でキッツを見守っていた奥村調教助手。みんなに大切にされているキッツは幸せ者ですね!次走はみなさん、本馬場入場の時から注目ですよ。キョロキョロしていたら笑顔で思ってください。「まったくしょうがないなぁキッツは」と。(馬バカなウマドル・桜井聖良)

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