【スプリンターズS】ラッキー、幸運の雨で復活 きっちり反応
2018年9月28日 05:30 馬上から聞こえる主戦プレブルの流麗な口笛に冷静さを取り戻したラッキーバブルズ。芝コースに足を踏み入れると嫌がるそぶりを見せたが、鞍上のムチ一発で目が覚めた。
「1頭だけの調教で最初は不安になっていたが動きだせば大丈夫。ラスト600メートルから追いだすと気持ちよく走っていた。いい感触」
06年安田記念(ブリッシュラック)でJRA・G1制覇の実績があるプレブルは満足顔で振り返る。ファンがいない静まり返った中山競馬場に鳴り響く蹄音。肩ムチに反応してギアを上げると4F54秒1〜1F11秒9。鋭く伸びた直線は一点だけを見つめて全くブレがない。
17年5月G1チェアマンズスプリントプライズ(騎手はボウマン)の覇者。のちにG1香港スプリントを制したミスタースタニングの猛追を首差しのいで待望のG1を手にした。だが、タイトル奪取後の17―18年シーズンは7戦未勝利。ピークは過ぎたのか…。そんな声を払しょくし、再び輝きを取り戻すために選んだ始動戦が日本。プレブルは「シーズン当初の敗因はレースで不利もあったから。前走の6月香港プレミアC(芝1400メートル)は僅差の3着。ベストの距離を超えていたのに馬の頑張りが伝わってきた。それが今回のレースの私の自信にもつながる」と前を向いた。
ラッキーな秋雨だ。日曜は雨予報。香港でのレースは全て良馬場だが、移籍前のオーストラリアでのデビュー2戦目は不良馬場で4馬身1/4差の圧勝。時計がかかる馬場なら勝機が高まる。今年4月のG1チェアマンズスプリントプライズでファインニードル(4着)と対戦して5着。日本のトップスプリンターの力量を知るプレブルは「この馬場状態だとファインは不利じゃないかな。チャンス!!」と力を込める。ルイ厩務員も「雨が降って渋ると、香港の馬場に近くなり分がある」と勝算を見込んだ。
馬名の漢字表記は「幸運如意」。如意は物事が自分の思うままになること。幸運な雨だけでなく、レース展開も思うままにしてみせるか。打倒日本馬を誓う香港馬が“100万ドルの輝き”を取り戻す。