【皐月賞】ブラックホール“故郷”に光を!21年前のオペラオーV再現狙う
2020年4月13日 05:30 “桜”の次の舞台は東国での3歳クラシック第2戦「G1第80回皐月賞」(19日、中山)。ホープフルSを勝ったコントレイル、朝日杯フューチュリティSを制したサリオスと2歳G1ウイナーに、トライアルの弥生賞ディープインパクト記念Vのサトノフラッグと、骨のある面々がそろって見応えたっぷりなレースとなりそうだ。そして、昨夏の札幌2歳Sを制して北海道浦河の杵臼(きねうす)牧場に19年ぶりの重賞タイトルをもたらしたブラックホール(牡3=相沢)が一発を狙っている。
遙か北の大地から、21年前の再現を願う。北海道浦河の杵臼牧場はG1を7勝したテイエムオペラオーを生産した名門。昨夏の札幌2歳Sを制し、牧場に19年ぶりの重賞タイトルをもたらしたブラックホールが、今週末の皐月賞に挑む。杵臼牧場の鎌田正信さん(41)は“孝行息子”の晴れ舞台を心待ちにしている。
「生まれた時から、ゴールドシップ産駒にしては小さいけど動きが良くて、素軽い馬でした。どちらかと言うと、祖父のステイゴールドにイメージが似ていましたね。それにしても、こんなに走るとは想像できませんでした。札幌2歳Sも勝つと思っていなくて…」
2歳夏での重賞制覇はうれしい誤算だったが、だからこそ期待は膨らんでいる。
「ホープフルSは“アレッ!?”という競馬でしたけど、弥生賞は思い切って後ろから運んで、よく伸びてきました。馬場が渋れば、展開次第でいいところがあるかな…と思っています」
創業者で祖父の信さん(故人)は種牡馬として大成功したブレイヴェストローマンを導入した立役者。父の信一さんはテイエムオペラオーを送り出した。
「自分の代でも…。オペラオーは無理でしょうけど、重賞に出る馬を1頭でも多く出したいです。特にクラシックディスタンスは社台さんやノーザンさんの馬が強くて難しいですが、去年ディープとキンカメが亡くなったことで、混とんとしてくるでしょうしね」
大一番に胸躍る一方で、厳しい現実にも直面している。新型コロナウイルスの影響は馬産地にも波及。北海道を訪れる馬主や調教師が激減している。「例年なら、これぐらいの時期から当歳の(購入の)話が来るんですが、今年はまったくありませんね」。皐月賞も現地観戦は叶わず。手塩にかけて育てた愛馬へ、生まれ故郷から精いっぱいのエールを送る。(岡崎 淳)
≪“師弟愛”も同じ≫杵臼牧場が生産したテイエムオペラオーとブラックホールには“師弟愛”という共通項がある。テイエムオペラオーは師匠・岩元市三師=弟子・和田竜二のコンビで26戦14勝。デビューからラストランまで和田が手綱をとり、G1・7勝を挙げた。一方のブラックホールも管理する相沢郁師の弟子・石川裕紀人がデビューから前走まで全5戦でコンビを組んでいる。もちろん、今回も師弟タッグで参戦。21年前の再現へ“お膳立て”は整っている。
▼杵臼牧場 北海道浦河の競走馬生産牧場。1949年、鎌田信氏が創業。現代表は2代目の鎌田信一氏。主な生産馬にG1・7勝のテイエムオペラオー、92年小倉3歳Sの覇者マルカアイリス、00年京王杯3歳S・テイエムサウスポー。現役にブラックホールやペプチドバンブーがいる。繁殖牝馬は約45頭。