【ヴィクトリアM】高橋亮師、スカーレットで悲願 ホースマンとして初G1Vへ
2020年5月15日 05:30 スカーレットカラーの高橋亮師が、半年前の失敗を糧に悲願のG1タイトルを狙う。昨秋のエリザベス女王杯は4番人気に支持されたが、直線で伸びを欠いて7着。師は悔しそうに振り返るが、それはただ単に“負けた”からではない。
「結果的に“もう1本、調教をやっておけば…”という悔いが残ったね。レース前に体重を量った瞬間に“あちゃー”と思ったよ」
当日輸送でも大きく馬体を減らす弱点を考慮して、当時は軽めの調教に終始した。ところが、充実期を迎えたスカーレットカラーは輸送に耐えて、当日はまさかのプラス14キロ。よかれと思った策が裏目に出た。一転、続く有馬記念は攻めの姿勢を貫いてマイナス12キロと絞り込んだが、結果にはつながらず15着に沈んだ。
「エリザベス女王杯は馬体が減ることを気にし過ぎたし、逆に有馬記念は絞るための調教をしていた。うちのスタンスじゃなかったね。それだけに前走は、自分の気持ちとしては仕切り直しの一戦だったんだ」
今年の始動戦の阪神牝馬Sは原点に立ち返り、“シンプル”に仕上げてプラス16キロ。馬体重はエリザベス女王杯を上回ったが、当時とは過程が違った。結果は2着。「しっかりと調教をしてのプラス体重で、それなりの結果を出せたことが良かったね」と確かな手応えをつかみ取る。
騎手時代にはG1に21回挑戦して、00年皐月賞のダイタクリーヴァなど3度の2着が最高。
「ジョッキーになった以上はG1を勝ちたかったけど、縁がなかった。業種は変わったけど、またチャンスがあるというのはうれしいこと。G1を勝つと、自分がやってきたことに対する自信にもなるし、説得力も出てくるからね」
他の厩舎の調教にも目を凝らし、気になることがあれば先輩後輩を問わず、質問をぶつける意欲的なトレーナー。日々の積み重ねの先に、紅色の大輪を咲かせるか。
◆高橋 亮(たかはし・りょう)1978年(昭53)1月6日生まれ、滋賀県出身の42歳。父は元騎手で元調教師の高橋隆氏。「花の12期生」として96年に橋口弘次郎厩舎からデビュー。重賞7勝を含めて、JRA通算305勝を挙げた。13年に厩舎を開業し、JRA通算1541戦136勝。重賞は14年CBC賞をトーホウアマポーラ、19年府中牝馬Sをスカーレットカラーで制している。