騎手として11年函館2歳Sを勝った上村師 開業2年目の夏…函館開幕週に新馬2頭を起用

2020年6月12日 19:39

函館で滞在馬の調整に当たる上村師

 かつてジョッキーとして滞在していた函館にトレーナーとして来るのは、この夏が2回目。昨年3月に厩舎を開業した上村師が開幕に備え、現地で滞在馬の調整に当たっている。

 騎手時代、函館の思い出は?そう問われると「やっぱり2歳Sかな」と即答した。あれは9年前の夏だ。岩田騎乗で新馬戦を3馬身差で快勝したファインチョイスは続く函館2歳Sの有力候補に挙げられた。ただ、岩田が新潟(関屋記念・ヒカルアマランサスに騎乗予定も回避)へ。空白となった鞍上に自身が指名された。追い切りで感触を確かめ、競馬は好位から抜け出す完ぺきなレース運び。2番人気での勝利に導いた。当時、領家師(14年に定年引退)は「上村君が100点満点の乗り方をしてくれた」と絶賛。「代打の役割を果たせて良かった」と懐かしそうに振り返る。

 あれから立場が変わり、今度はトレーナーとして2歳Sを目指す。早速、楽しみな2歳がデビュー。函館の新馬開幕戦となる土曜5R(芝1000メートル)にイーウェイ(牡2、父ディスクリートキャット)を起用する。祖母が芝・中距離でオープン入りしたキャッチータイトルで15年阪神JF&16年NHKマイルCの覇者メジャーエンブレムのおいっ子にあたる血統だ。

 「栗東で十分、乗り込んでから函館に入厩。仕上がりはいい。前向きな気性でスタートが速いし、ハミがかりがいいから1000メートルに対応できると思う」

 続く土曜6R新馬戦(芝1200メートル、牝馬限定)はピナ(牝2、父キズナ)がスタンバイ。今週水曜はこの2頭が芝コースで併せ、ともに5F67秒6~12秒2とピッタリ時計が一致して余力十分の同入フィニッシュとなった。「イーウェイと同じく栗東から函館と、しっかり乗ってきた。カッとなりやすい気性だけど初めての競馬にとまどわず稽古通り走れたら」と期待を寄せる。近走、上位争いを続けてきた日曜4R・3歳未勝利スーパーフライヤー(牡3)を含め、スタートダッシュを決める構えだ。

 ◆上村 洋行(うえむら・ひろゆき)1973年(昭48)10月23日生まれ、滋賀県出身の46歳。92年に栗東・柳田次男厩舎所属で騎手デビュー。ルーキーイヤーに京王杯AH・トシグリーンで重賞初制覇を飾るなど40勝を挙げ、JRA賞最多勝利新人騎手に輝く。サイレンススズカのデビュー6戦に騎乗して97年プリンシパルS1着からダービー9着。17年目の08年にスプリンターズS・スリープレスナイトでGI初制覇。JRA通算570勝(重賞10勝)をマークして14年に引退、調教助手に転身する。17年12月に調教師試験に合格、19年3月に厩舎を開業した。JRA通算17勝。

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