【クイーンS】50歳内田、「さすが」の騎乗機会重賞3連勝へ シャドウディーヴァと初コンビ

2020年7月31日 05:30

美浦トレセンの内田博幸騎手(撮影・西川祐介)

 今月26日に50歳の誕生日を迎えた内田博幸。中央競馬では現役7人目の50代騎手となった大ベテランは現在、ラジオNIKKEI賞(バビット)、七夕賞(クレッシェンドラヴ)と重賞騎乗機会2連勝中。自身初となる3連勝を懸け、今週のクイーンS(札幌)でシャドウディーヴァに騎乗する。若手の台頭を冷静に受け止めつつ、おじさん世代の希望の星が新たな勲章を手にするか。一方、ステイゴールド産駒はJRA全10場重賞制覇の偉業に挑む。

 自身初の重賞騎乗機会3連勝を懸けて、内田が2年ぶりに札幌へと向かう。クイーンSでコンビを組むシャドウディーヴァは初騎乗。「乗ってみないと分からない面もあるから」と断った上で「これまでのレースを見る限り、伸びてくる時の脚は凄くいい。その脚を使えるよう、道中は馬の気持ちを損ねないように乗りたい。メンバー的には、やれていいと思う」。ベテランらしく自然体の答えの中に手応えをにじませた。

 直前の落馬事故による“代打騎乗”だったバビットでラジオNIKKEI賞を制覇。翌週の七夕賞では主戦を務め、共に鍛え上げてきたクレッシェンドラヴをVへと導いた。自身5度目の重賞騎乗機会2連勝。芝に限れば6月のエプソムC(ダイワキャグニー)から3連勝中だ。「平場は全然勝てていないから…。好調とは言えません」。謙虚に語る一方で、独自の騎手哲学を切り出した。「目立つところで勝たせてもらったのは本当にありがたい。我々はファンに応援してもらい、馬券を買ってもらう立場。目立つのは凄く重要なこと。今回で言えば人気薄でも、乗り替わりでも、人気のある馬でも結果を出せたのは良かったと思う」

 今月26日、50歳になった。「僕は100年計画だから。まだまだ半分ですよ」。そう笑い飛ばすが、中央競馬の50代の現役騎手は最年長54歳の柴田善を筆頭に他に6人しかいない。「技術が向上し、レベルの高い若手が育っている。そういう中でベテランも“さすが”という騎乗を見せたい」。後輩たちにファイティングポーズを取った上で勝利への飽くなき探究心も忘れない。「年齢は関係ない。技術には終わりはない。負けたと思えば負けになる。若手がいい騎乗をしたら、それはどんどん吸収していきたい」。今回勝てば重賞3連勝に加え、初の札幌重賞V。50歳の内田はライバルに、そして自分自身の限界に挑み続ける。

 ◆内田 博幸(うちだ・ひろゆき)1970年(昭45)7月26日生まれ、福岡県出身の50歳。89年に大井競馬所属でデビュー。地方通算3145勝を挙げ、08年にJRA移籍。09年に146勝を挙げリーディングを獲得。JRA通算1万1366戦1245勝。重賞は10年ダービー(エイシンフラッシュ)など53勝。1メートル55、49キロ。血液型B。

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