【秋華賞】デアリングタクト 3冠達成濃厚!上がり最速オークス馬は“勝率100%”
2020年10月13日 05:30 今週は牝馬3冠最終戦の秋華賞。スプリンターズSでは優勝馬グランアレグリアをピックアップした「G1データMAX」では、今回もレース傾向と出走馬の特徴を徹底分析。浮かび上がったのは無敗3冠の偉業に挑むあの馬か。それとも3冠阻止を狙うライバル勢の逆転はあるのか――。
(1)ローテ 以前は圧倒的にローズS組が優位だったが、14年に紫苑S2着のショウナンパンドラが優勝して以来、潮目が変わった印象を受ける。特に、紫苑Sが重賞に昇格した16年以降は、ここをステップにしたヴィブロス、ディアドラが本番で連勝。昨年もカレンブーケドールが2着に食い込んだ。賞金増額と優先出走権の拡大(2→3着まで)により、レースのレベルも大幅にアップした。
一方、直近2年の秋華賞V馬は、いずれもオークスからの直行。前哨戦を使わずの“ぶっつけ本番”は、秋華賞に限らず全ての大レースの“王道”になりつつある。ひと昔前なら疑問視されたデアリングタクトの臨戦も、割引材料と捉える必要はない。18年アーモンドアイも同じパターンで3冠を制した。
ローズSは近年の地位低下に加え、今年は中京で代替開催。勝ったリアアメリアは左回り巧者の印象が強く、京都では食指が動かない。抽選対象だが狙いたいのはむしろ、度々好走している古馬相手の2勝クラスV組か。
(2)実績 過去10年で連対した20頭のうち、実に17頭が重賞V、または古馬相手に2勝クラス(1000万下)を勝っていた。春に桜花賞、オークスの2冠を制していた10年アパパネ、12年ジェンティルドンナ、18年アーモンドアイはそろって3冠制覇。ここもデアリングタクトがあっさりとクリアする。
例外は3頭だが14年Vショウナンパンドラと16年Vヴィブロスは、重要ステップとなった紫苑S2着馬。昨年2着カレンブーケドールはオークス2着、紫苑S3着の実績があった。オークスで好走したウインマイティー(3着)とマジックキャッスル(5着)は重賞勝ちがなく、紫苑Sでも4着以下に凡走してしまった。データ上は評価を下げざるを得ない。
ローズS2、3着で権利を獲ったムジカ、オーマイダーリンは2勝クラスを勝っていない現状。上昇度は認めても、やはり実績不足の印象は否めない。
(3)脚質&決め手 舞台となる京都内回り2000メートルは直線が短く紛れの大きいコース。先行有利が基本だが、秋華賞に限ればそうでもない。過去10年で逃げ切りVは皆無。逃げて馬券に絡んだのは3着内に入った該当30頭で18年2着ミッキーチャームのみだ。
残る29頭中、4角を6番手以下で通過した馬が19頭。あとの10頭は5番手以内で直線に向いたが、このうち最初の1角から全てのコーナーで5番手以内をキープした馬は4頭。逃げ切りはもちろん、先行押し切りも至難の業だ。
明らかに決め手を要求されるレース。その指針として興味深いのがオークスとの連動。別表(表1)に揚げた過去10年のオークスで最速の上がりをマークし、秋華賞に出走した馬の成績。ほぼ全馬が好走しており、“オークスを最速の上がりでV”と条件を絞れば、5頭全てが秋華賞もV。牝馬3冠のアパパネ、ジェンティルドンナ、アーモンドアイが含まれる。デアリングタクトはオークスで、アーモンドを上回る最速3F33秒1をマーク。優位は動かない。
【結論】データ上はデアリングタクトの3冠達成が濃厚だ。96年の秋華賞創設以降、5頭の2冠馬が挑戦し4頭が3冠達成。唯一、逃した09年ブエナビスタも鼻差の2位入線→3着降着。牡馬3冠は菊花賞で一気に3000メートルまで延長されるが、牝馬3冠の最終戦は2000メートル。1600メートルの桜花賞、2400メートルのオークスを制した2冠馬にとって、その中間距離の攻略はたやすいと言っていい。桜花賞で重馬場も克服しており、死角は限りなく少ない。
相手はオークス2着のウインマリリン。G2フローラS勝ちと実績も十分だ。紫苑Sを勝ったマルターズディオサは春の実績からも外せないが、脚質からは2着パラスアテナも注意。ハイレベルだったラジオNIKKEI賞4着は評価できる。今年のローズS組は軽視したいが、警戒したいのはアブレイズ。G3フラワーC勝ちと、本番舞台で新馬Vを飾っている点が不気味。あとは2勝クラスを勝ってスタンバイする抽選組。このレースと好相性のディープインパクト産駒であるソフトフルート、レイパパレは出走がかなえば、迷わず馬券に組み込みたい。(データ班)