【菊花賞】コントレイル 史上初の父子無敗3冠へ“飛翔の時” 軽め調整4F59秒6「気合乗ってきた」
2020年10月19日 05:30 80年を超える中央競馬史上初のバトンが渡された――。18日、京都競馬場で行われた秋華賞で、デアリングタクトが史上初めて無敗で牝馬3冠を達成した。そして今週は、牡馬クラシック最終戦「第81回菊花賞」(25日、京都)でコントレイル(牡3=矢作)が史上初の父子無敗3冠制覇に挑む。この日、同馬は栗東トレセンで菊花賞に向けて調整、坂路で力強いフットワークを披露した。ファンが帰ってきた改修前最後の京都G1から目が離せない。
コントレイルが菊花賞で父ディープインパクトに肩を並べれば、すなわち史上初の「父子無敗3冠」達成となる。同馬を担当する金羅(きんら)助手は「当日まで僕が失敗しないようにするだけ」と冷静な口調で語る。
日曜朝の調教はテンションを上げ過ぎないように、午前7時の他馬の少ない時間帯に行われた。まずCWコースで感触をチェック。入念に体をほぐしてから坂路に向かう。序盤から力強いフットワーク。全体時計は馬なりで4F59秒6~ラスト1F14秒6と調整程度のものだったが、脚取りは軽快。本番に向けて着々と準備は進む。
「気合が乗ってきましたね。集中して走れていたし、この馬に関しては、やり過ぎないぐらいがちょうどいい」
大丈夫。いつも通り。金羅助手の表情は落ち着き払っている。それは自信の表れか、緊張の裏返しか。
単勝1・1倍。圧倒的な支持を集めた秋初戦の神戸新聞杯は、無難にスタートを切って中団追走。直線は馬なりで楽に先頭へ。最後まで目いっぱい追われることなく、2着ヴェルトライゼンデに2馬身差をつける圧勝。馬体重はダービーと同じ460キロ。しかし、ひと夏を越して数字に表れない成長を遂げたコントレイルは、他馬との差をさらに大きく広げた感すらあった。
「余裕のある勝利だったので、レース後の回復は早かった。すぐにカイバをいっぱい食べていたぐらいですから。今までと比べても(調教を再開する)立ち上げは僕が思っていた以上に早かったですし、成長しています」
背が伸びた。レース後の回復が早くなった。すらりとした馬体に、全身これバネと言うべき筋肉が詰まっている。まず無敗3冠という大偉業でシンボリルドルフ、父ディープインパクトという先達に並ぶ。コントレイルが目指すのは、先達の到達点のその先、未到の領域――。とはいえ眼前の菊花賞というハードルも決して低くはない。初の京都、初の3000メートル。金羅助手は「距離は全頭が初めて。こなしてくれると願うだけです」と愛馬を信じる。父以来15年ぶりの偉業へ、史上初の快挙へ泰然自若にその時を待つ。
≪05年ディープに続く挑戦≫コントレイルの父は05年の3冠馬ディープインパクト。日本競馬史初の父子3冠制覇に挑む。3冠馬シンボリルドルフの産駒トウカイテイオーが91年に皐月賞、ダービーの2冠を達成したが、骨折で菊花賞は出られず、父子2代で3冠制覇に挑むのはコントレイルが初。父子での3冠制覇は米国で父ギャラントフォックス(1930年)&子オマハ(1935年)の達成例はあるが、世界的にも極めて珍しい記録となる。なお、ディープインパクト産駒は18年フィエールマン、19年ワールドプレミアと菊花賞を2年連続制覇中。