【京王杯2歳S】リフレイム、新怪物伝説へ!驚異のポテンシャル秘めた“おてんば娘”悪癖修正

2020年11月5日 05:30

ダートコースで追い切るリフレイム(撮影・郡司 修)

 今週末に行われる4重賞の追い切りが4日、東西トレセンで行われた。2歳重賞「第56回京王杯2歳S」(7日、東京)のリフレイム(牝2=黒岩)は他馬がいない時間帯を狙っての単走追い。逸走した新馬戦とは打って変わり、人馬一体で真っすぐにダートコースを駆け抜けた。

 馬場開放から3時間半後の午前10時30分。リフレイムが姿を現したのは、一般的に追い切りで使用される南馬場でも坂路でもなかった。今週の重賞出走予定馬でただ1頭、北馬場Cコース(ダート)での最終追い。他厩舎の馬が引き揚げるのを待ち、コースは貸し切り状態。助手を背に単走で、ゆったりと、真っすぐに駆け抜けた。

 5F70秒3~1F13秒4。タイムは速くないが、直線では手前(軸脚)を奇麗に替えた。新潟新馬戦の直線で、内ラチから外ラチまで25メートルを横断したやんちゃぶりは、すっかり影を潜めている。見守った黒岩師は「まずは気持ちを高ぶらせないこと。次に操縦性を大切にすること。その2点を主眼に置いた。スムーズに走ってくれて合格点」。ホッとした表情が印象的だった。

 落馬寸前の逸走。衝撃的な初陣Vの代償は大きく、同馬には調教再審査が課された。まともな競走馬として馬生を歩めるかの分岐点。厩舎スタッフ、育成牧場の山口ステーブルが連携して悪癖を懸命に修正した。矯正馬具には頼らず、乗馬の基本運動であるフラットワーク(常歩、速歩、駈歩の3種の歩様)を主体に柔軟性を強化。人との関係性を再構築し、操縦できる馬に一からつくり変えた。

 先月14日に再審査に合格。同25日には1勝クラスを5馬身差圧勝。最後方待機から他馬をごぼう抜きにしてみせた。師は「真っすぐ走ってくれたことに加えて、鞍上の指示通りに前半控えて直線でいい脚を使えた。評価できるレースだった」と振り返る。「リフレイムは今も課題と隣り合わせ。今回は中1週での続戦で相手も強化される。一走ごとに少しずつ課題を解消した先に、G1が見えてくるはず」。すさまじいポテンシャルを秘めたやんちゃ姫は、怪物への道を着実に進んでいる。

 【大物の証!?逸走V】逸走Vで思い出されるのは、14年アイルランドTを、外ラチまで斜行しながら逃げ切ったエイシンヒカリ。同馬はのちに香港C、イスパーン賞と海外G1・2勝を挙げた。08年菊花賞馬オウケンブルースリは、デビュー2戦目の新潟未勝利戦で4角外逸走。直線では“カメラの画面外”から、5着まで追い上げて能力の片りんを見せた。3冠馬オルフェーヴルも、新潟新馬戦で外から抜け出したにもかかわらず内ラチまで一気に斜行。ゴール後には鞍上の池添を振り落とした。怪物には語り継がれる逸話が付きものだ。

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