【ジャパンC】“希代の馬券師”塩崎氏、夢の一戦で大ばくち 3冠3頭3連複一点勝負

2020年11月25日 05:30

18年ジャパンCを制したアーモンドアイを祝福する東京競馬場のファン。

 3冠馬3頭の激突で盛り上がる「第40回ジャパンC」。半世紀の競馬歴を誇り、大舞台の表も裏も見てきた競馬評論家・塩崎利雄氏(76)が本紙に特別寄稿。令和の時代に実現したドリームマッチを希代の馬券師は、どう買うのか。

 競馬でメシを食って50年になる(馬券では食えないが…)。

 「競輪だけはやるな」の父親の遺言で、競輪は一度もやったことはないが、競馬はモチロンのこと、ボート、オート、そしてご法度の手本引き、バカラ、高レート麻雀…。賭け事なら何でもござれでやりまくった。

 いい時は短く、悪い時が長いのが、ばくちの常。

 我慢、辛抱なんて言葉をオフクロの腹の中に忘れて生まれてきちゃった性分。

 張る金がなけりゃ借りるっきゃない。

 お金と追いかけっこの毎日。高の知れた稼ぎじゃ追いつくわけがなく借金は膨れる一方。

 公開がはばかられる莫大(ばくだい)な金額になり、ニッチもサッチもいかなくなった時、救いの手を差しのべてくれた人が2人いた。

 うそこそあまりつかないが、いい加減なこちとらのどこを気に入ってくれたのか、いまだに分からないが助けてくれたのだ。

 まさに恩人だった。

 そのお二方も鬼籍に入って久しい。

 “張りたがり病”という不治の病にかかって、自己破産するしかすべがなくなった時の救済。

 地獄に仏とはこのことだろう。

 億を超える借金苦から逃れたてんまつを浅い付き合いの他人に話しても「うそだろう。今の世の中そんな奇特な人がいるわけない」と信じてもらえそうにないので、あえて語らないことにしてる。

 <もうむちゃはできない>と遅まきながら気がついて、競馬とコシャ(小さい)な麻雀で我慢しだしてから十年近くになる。

 だからと言って蔵が立ったわけでもないし、隠し預金も皆無。

 素寒貧状態なのは同じである。

 そんなこちとらが「一丁勝負したるか」と悪い病気が再発しかけているのが今週、日曜日の「ジャパンカップ」なのだ。

 米国のメアジードーツが勝った第1回からライブ39回欠かさず観戦している。

 無敗の牡馬3冠コントレイルに、これまた無敗の牝馬3冠デアリングタクトに、2年前の牝馬3冠で現役最強の呼び声高いアーモンドアイが激突する。

 史上空前、恐らく二度と見ることのできないドリームレースに、心がうずいてどうしようもないのである。

 狂うが常の競馬だが、この3頭のどれが勝つのか。

 神がかりの騎乗でG1レースを勝ちまくっているルメールのアーモンドアイかとも思うが、父のディープインパクトを超えるかも…のコントレイルと両馬に2キロの重量差があるデアリングタクトが勝っても何ら不思議はない。

 リーディング1位のルメール、3位の福永祐一、4位で急成長を見せる松山弘平とジョッキーも信頼できる男たち。

 コロナ下でなけりゃ、立錐(りっすい)の余地もない大観衆で埋まり、スタンドの大鉄傘が揺れるどよめきと興奮の坩堝(るつぼ)になったであろうハズ。

 いずれにしても、この3頭で決まると思うし、決まってほしい。

 「もっと買っときゃよかった…この根性なし…」なんて後から悔やむのはごめんである。

 3頭立ての競馬と妄信。

 3連複で幾らつくか分からないが、3倍つけばオンの字である。

 20万馬券になった「アルゼンチン共和国杯」を当てて、珍しく少し懐に余裕がある。

 100万一点勝負!

 ハズレたら、

 「馬鹿は死んでも治らない」と嗤(わら)ってくだされ…。 (競馬評論家)

 ◆塩崎 利雄(しおざき・としお)1944年(昭19)5月29日生まれ、東京都出身の76歳。東京スポーツを皮切りに競馬専門紙を含めて55年の予想歴を誇るベテラン競馬評論家。東京競馬記者クラブ会友。スポニチには01~02年に予想コラム「鉄火場慕情」を執筆。主な著書は極道記者シリーズ、止まり木ブルースシリーズなど。

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