【有馬記念】国枝師 カレンブーケドールで昨年リベンジを「状態はジャパンCと変わらない」

2020年12月21日 05:30

有馬記念にカレンブーケドールを送り出す国枝師

 新型コロナウイルスの影響で3月から無観客開催となった今年の中央競馬。10月10日から限定的に入場を再開したが、いまだにファンの歓声は制限されている。そんな中で行われる今年のグランプリ。「特別な有馬」と題し、出走各馬の関係者が“特別な一年”を振り返る。第1回はカレンブーケドールを送り込む国枝栄師(65)。

 厩舎の看板馬であり、日本競馬の歴史を塗り替えたアーモンドアイを無事、繁殖に送り出した。引退レースとなったジャパンCで史上最多の芝G1・9勝目を挙げたのは記憶に新しい。史上初、3冠馬3頭が激突した世紀の一戦。入場制限がなければ恐らく20万人近い観衆が東京競馬場に詰めかけただろう。師は「ファンサイドの盛り上がりがなかったのは残念。ただ、馬にとっては快適だったのかもしれない」と話した。

 パドックに何重もの人垣ができ、スタンドから応援の声が飛ぶビッグレース。今年、多くのレースでそれがなかった。「観客がいなければ馬は緊張しない。気にしない馬も中にはいるけどナーバスな馬もいるから」(同師)。これまで観衆を見て興奮し、レース前にスタミナを消耗していた馬は想像以上に多かったのかもしれない。今秋のG1で1番人気馬が7連勝したことは入場制限と無関係ではなさそうだ。「ファンの皆さんに落ち着いて応援していただければ、馬だってリラックスできるし力を発揮できるんじゃないかな」。競馬にとってファンの存在は第一。ただ、馬が力を出し切れるような応援の仕方を今後も意識すれば、これまで精神的な弱さで大成できなかった馬たちが、もっと頑張れるかもしれない。

 今年の有馬記念の入場者は事前予約で当選した約2500人余。「特別な有馬」に国枝師はジャパンCで3頭の3冠馬に最も接近したカレンブーケドールで挑む。「状態は前走と変わらない。大丈夫だよ」。昨年は1番人気アーモンドアイで9着。同馬のキャリアで唯一、馬券圏外に敗れたレースとなった。国枝師にとって、リベンジが懸かる一戦でもある。(特別取材班)

 ≪07年マツリダゴッホV 大波乱演出が懐かしい≫国枝厩舎は07年有馬記念をマツリダゴッホで制している。蛯名騎手を背に9番人気の低評価を覆した。最後の直線、早めに先頭に立ったダイワスカーレットを競り落とした。国枝師は「具合が良く、勝負になると思っていた。中山も得意だったから。メディアは取材に来なかったけど(笑い)。100点の競馬だった」と懐かしげに振り返った。

 ◇国枝 栄(くにえだ・さかえ)1955年(昭30)4月14日生まれ、岐阜県出身の65歳。東京農工大卒業後、78年美浦・山崎彰義厩舎で調教助手。89年調教師免許取得。90年2月4日初出走、同3月10日初勝利。JRA通算7954戦931勝。JRA重賞54勝、うちG1・19勝。アパパネ、アーモンドアイと2頭の牝馬3冠馬を育てた。

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