【金鯱賞】新天地で“キセキの復活”だ!17年菊V導いたミルコと再コンビ 辻野師も期待

2021年3月10日 05:30

<金鯱賞>辻野厩舎に転厩し復活の勝利を目指すキセキ

 新天地で奇跡の復活劇だ。豪華メンバーがそろったG2「第57回金鯱賞」(14日、中京)に出走する17年の菊花賞馬キセキ(牡7)は、名門・角居厩舎から辻野厩舎へ転厩して初戦を迎える。開業ウイークの7日に初勝利を挙げた気鋭調教師が、諏訪富三師の5日目に次ぐ史上2位の早さとなる開業14日目での重賞初Vに挑む。

 名門・角居厩舎で調教助手としてスポークスマンも務めた辻野師は、7日の中山12Rロイヤルバローズで早くも開業初勝利。指揮官は「責任がのしかかりますし、1番人気だったので心臓に悪かったですね」と勝利をかみしめる。開業2週目から、引き継いだG1馬を重賞に送り込む。7歳になったキセキは先月28日、角居厩舎から新規開業厩舎に移ってきた。新たな場所で再スタートを切る。

 「香港やフランスにも行っている馬。どっしりしていて、人の方がソワソワしていても知らん顔ですよ(笑い)。今の厩舎がある場所の方が周りに馬も少なくて、静かな環境。他の馬にもいい影響が出ていますね」

 担当の清山助手とは一緒に転厩。環境は変わっても、長年寄り添った人馬の絆は心強い。指揮官は「清山さんもいてくれるし、人と馬の信頼関係に頼っています。動きを見ながら馬に合わせた調教のスタンスも崩さずにやっています。走りを見ても、まだ衰えた感じはない」と期待を寄せる。

 17年の菊花賞を制して以降、G1で銀メダルが4回ありながら未勝利。前走の有馬記念は12着に敗れた。「制御しやすいように、クロス鼻革を着けたが、結果的に前進気勢をそぐ形になってしまった。ジャパンC(8着)を使って内面の疲れもあったのかな」と振り返る。「今年も(現役を)続けさせてもらえますし、元通りの馬具に戻して臨むつもり。力を出し切れれば」と“復活V”に燃える。

 その手綱を託されたのが、菊花賞Vに導いたミルコ・デムーロ。騎乗するのは18年の宝塚記念(8着)以来となるが、キセキとのコンビは【2・1・0・2】と好相性。辻野師は「ミルコもいいイメージで乗ってくれると思う。いい頃のキセキを知っているジョッキーと復活できれば」と託した。奇跡の復活劇があるかもしれない。

 ◆辻野 泰之(つじの・やすゆき)1981年(昭56)8月29日生まれ、大阪府出身の39歳。06年から栗東・角居厩舎で調教助手を務めた後、今年3月開業。6日の小倉4Rグローブシアターで初出走(3着)、2戦目の7日中山12Rロイヤルバローズで初勝利を挙げた。厩舎の馬服は黒を基調としたチェック柄のデザイン。「ラグビーのオールブラックスの黒と、イングランドのタータンチェックを意識しました」。目標のレースに、日本ダービーと凱旋門賞を挙げる。

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