【中山牝馬S】気性成長アルーシャ 初1800メートルも藤沢和師「折り合える」
2021年3月10日 05:30 【東西ドキュメント・美浦=9日】藤沢和師が坂路調教を終えた管理馬の一団に穏やかな視線を向けている。70歳定年までついに1年を切り、明鏡止水の境地に達したようなまなざし。
「馬も人も年齢とともに穏やかになる。あんたもそうだろ?」
来年定年を迎える長老記者の梅崎に優しくほほえむと、管理馬の中でもひときわ落ち着き払った歩様を見せるアルーシャ(中山牝馬S)に視線を戻した。
「以前はこの馬もがむしゃらな性格だったけど、随分穏やかになった。今なら1800メートルでも折り合えるだろう」。デビュー以来17戦全て1400~1600メートルに出走した6歳牝馬。引退レースで1800メートルに初挑戦するのは最年長トレーナーが気性の変化を感じ取ったからだ。「57キロを背負った前走(ニューイヤーS2着)もいったんは先頭に立つ競馬で頑張った。重量が2キロ減るのもいい。馬体もたくましくなったし、体調もすこぶるいい」と続けた。
調教師の本分とは馬を傷めず余力のあるうちに牧場へ返すこと…とは藤沢和師の名言。思惑通りの状態でラストランを迎える6歳牝馬に同師は再び穏やかな視線を向けた。