【QE2世C】「馬場適正より距離適性」中距離なら日本馬最強

2021年4月23日 05:30

ダノンスマッシュ

 【競馬人生劇場・平松さとし】海外遠征というと馬場適性がやたら強調される。もちろん、無関係とは言わないが、個人的にはそれ以上に地域による距離別のレベル差が大きいと考えている。つまり凱旋門賞をなかなか勝てないのは馬場適性よりも単純に2400メートル戦線では欧州勢が強いのだ。

 例えばドバイシーマクラシック。今年はクロノジェネシスやラヴズオンリーユーが英国馬ミシュリフに敗れた。平たんのメイダン競馬場が舞台だから馬場適性でいえば日本馬に分があったはずだが、あの距離だと欧州馬が強いと言える結果だ。これは19年にシュヴァルグランやスワーヴリチャードがオールドペルシアンに、18年にもレイデオロがホークビルに、さらに16年にはドゥラメンテがポストポンドに敗れたことからも明らかだろう。これは短距離戦でも逆説的に証明できる。そのカテゴリーだと豪州や香港といったいわゆる南半球産が強い。香港のリトルブリッジや豪州のショワジールなど、自国で決してトップではない馬でも、英国ロイヤルアスコットの短距離G1を優勝しているのだから、やはり馬場適性より距離適性ということだろう。

 そういう意味で香港のスプリントG1の勝ち馬に地元馬の名がズラリと並ぶのも当然だ。しかし、そこに風穴をあけたのがロードカナロアだ。2012、13年と香港スプリント(G1)を連覇したのは正直、驚き以外の何ものでもなかった。

 そして、その産駒で同じ安田隆行厩舎のダノンスマッシュが昨年、香港スプリントで父子制覇を果たし、今週末のチェアマンズスプリントに挑戦するため再び香港入りした。「お父さん同様、晩成という感じで今が一番絶好調です」と安田隆師。大いに期待できるが、同様に期待したいのはQE2世C(G1)に臨むデアリングタクトやグローリーヴェイズなど4頭の日本勢。過去にはウインブライト、ネオリアリズム、ルーラーシップがこの競走を勝ち、エイシンヒカリやシャドウゲイトらも海外でG1制覇。彼らに共通しているのは日本国内ではG1勝ちがない点。中距離では日本馬が最強ということだろう。(フリーライター)

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