【東京新馬戦】バーマン、藤沢和師血統集大成「競馬を進化させる」スピード重視の米×米

2021年6月4日 05:30

藤沢和厩舎の新馬・バーマン(撮影・西川祐介)

 ダービーが終わり、息つく暇もなく来年のクラシックを見据えた戦いが繰り広げられる。今週から東京、中京でスタートする2歳新馬戦。東京からは藤沢和厩舎のラスト世代が続々と登場する。6日の東京6Rに出走するのがバーマン。米国血統らしいスピードで初陣を飾る構えだ。一方、5日の中京5Rには同厩舎に所属したバウンスシャッセなどの半妹ラクスバラディーがデビューする。

 88年開業から34世代に及んだ藤沢和厩舎の2歳勢。続々と馬場入りするその最終世代のフットワークに厩舎の主が頼もしげな視線を向けている。「どれも米国の血統だよ。持ち味はスピード。サラブレッドにとって最も大事なものを受け継いでいる」と口火を切ると、言葉に力を込めてこう続けた。「競馬を進化させるのは欧州の血統ではない。米国のスピード血統なんだ。私が辞める前にこれだけは伝えておきたい」。33年間、欧米の血統馬を扱ってきた藤沢和師の持論だ。

 最終世代の先陣を切って今週デビューするバーマンも父母系そろって米国血統。同師が育てた父レッドスパーダ、父の父タイキシャトルは米国の至宝ヘイローからデヴィルズバッグに続く血統だ。同厩舎に所属した母ラユロットも米国馬エンパイアメーカー産駒。「この馬のスピードも際立っているよね。性格が穏やかでコントロールも利く」と評価する。

 3月の声を聞いて入厩する他厩舎に先駆けて2月11日に美浦トレセン入りした。「来週以降にデビューする2歳馬にも言えることだけど、3カ月調教して随分良くなった」。昨年の米セプテンバー1歳セールで82万5000ドル(約9070万円)の高値が付いたフィフティシェビー、同75万ドル(約8250万円)のポイズンアロウなど次週以降のデビュー馬(別掲)と共に今秋の米国遠征も視野に入れる。「(70歳定年を迎える)来年2月までしか預かれないが、それまでいい競馬をして、いい状態で別の厩舎に託したい。責任重大ですよ」と笑った。

 バーマンとはバーテンダーの同義語だが、ビルマ(現ミャンマー)原産のネコの品種名でもある。絹のような美しい毛並みを持つ気性の穏やかな大型ネコ。戦前にフランスへ渡り、パリのキャットショーで大人気となり、その血統が欧州に根付いた。馬体重510キロ前後、欧州にも根付いた米国血統の穏やかな大型馬らしいネーミング。「米国でスピードのある馬はダートに向かう。サンデーサイレンス、ブライアンズタイム…。その血統が芝でスピードを発揮するのは当然なんだ」。次代のホースマンへ置き手紙を残すように言葉を重ねた。米国血統で固められたバーマンなどの最終世代は名伯楽の集大成だ。

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