【札幌記念】ウインキートス 丹内ぞっこん「手放したくない」前走重賞Vで飛躍の夏

2021年8月20日 05:30

丹内を背に札幌芝コースを単走で追い切るウインキートス(撮影・千葉 茂)

 G2圧勝をフロック視は危険。「第57回札幌記念」(22日、札幌)で重賞連勝を狙うウインキートス(牝4=宗像)が札幌競馬場の芝コースで最終追い切りを行った。1週前と同じく主戦の丹内祐次(35)が函館から駆けつけ闘魂注入。付きっきりの鞍上も驚く成長曲線に、上下1つ違いのG1牝馬撃破が現実味を帯びてきた。

 キートスはきっと凄い馬になる。丹内が抱いてきた思いが結実しつつある。札幌調整組で唯一の木曜追いとなったウインキートスは札幌芝コースを単走馬なりで6F85秒4~1F13秒7。騎乗した丹内は「予定通り。引き揚げてきてケロッとしていた。さすが」。1週前追い切り、先週末と鞍上が付きっきりで闘魂を注入。気合乗りが抜群だったため、最終追いは人馬の呼吸を確認するだけで十分だった。

 「手放したくない。ずっと乗り続けたい」。そう口にしてきた鞍上も驚く急成長を示したのは前走の目黒記念。スローペースではあったものの、2番手追走から上がり3F32秒5を駆使し2馬身差の圧勝。同レースを牝馬が勝つのは33年ぶりの快挙だった。「前回は成長ぶりにびっくりした。道中もしまいもずっと楽だった。その感じのまま来ている」と振り返る顔が何ともうれしそうだ。

 丹内のキートス愛を証言するのは石田助手。「(新馬戦で騎乗した)松岡も丹内も、早い時期から“上でやれる”と言ってくれていた。(2走前の)日経賞で負けた時は丹内が凄く悔しがっていましたよ」。その日経賞では致命的な不利を受けて大敗したが、これまでの16戦で掲示板を外したのはその一戦のみ。「底を見せていないし、まだまだ成長するはず。相手は凄く強いけど今後に向けていいレースができれば」と秋の飛躍に向けて、厩舎も力が入っている。

 先週時点では丹内が「もう少し距離が欲しいかも」と不安要素に挙げていた約1年ぶりの2000メートルにも、「今ぐらい、いい意味でピリピリと気合が乗っていれば距離は対応できそう」と言葉が前向きに変わった。1歳上のオークス馬ラヴズオンリーユー、1歳下の桜花賞馬ソダシとG1牝馬2頭が人気を集める北都のスーパーG2で重賞連覇なら、人馬の夢は限りなく、大きく、広がっていく。

 《札幌滞在で本領》今年の札幌記念に出走する13頭を、最終追い切りを行った競馬場で分けると、札幌5頭、函館8頭。過去10年は5勝ずつと全くの五分。直前輸送がない札幌か、Wコースがある函館か、陣営の選択にはさまざまな理由がある。ウインキートスは大の輸送嫌い。石田助手は「美浦から中山、東京への輸送でもかなり減る。暴れるわけじゃないけど神経質なので馬運車でずっとストレスを抱えるのかも」と話す。昨夏は札幌で2戦1勝、2着1回。輸送距離ゼロの滞在競馬は、キートスにとって最高の環境だ。

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