【川崎】騎手紹介⑩奮闘誓う11年目の地元騎手 アニメパワーで前進する田中涼
2021年11月8日 12:00 田中涼(28)は相模原出身。プロ11年目を迎えた地元期待の騎手だ。そのデビューは華々しいものだった。17歳だった11年4月13日3R、わずか2戦目でビービーチェスターに騎乗し、初勝利を挙げた。
地方競馬教養センター時代の競走実習では1度も1着になったことがなかったが、いきなり7馬身差の逃げ切り。「デビュー戦から2回連続騎乗だったので、初戦は緊張した。それでもすぐ次の騎乗だったので、緊張せずに勝てた」と振り返った。
あれから10年。重賞制覇こそないが、13年の全日本新人王争覇戦2位、20年川崎ジョッキーズカップシリーズ3位など、常に地元の期待を背負っている。
騎手になったきっかけについて「とにかく動物が好きだった」と振り返る。最初は動物全般。親戚を含め競馬に縁はなかったが、ゲームセンターの競馬ゲームで存在を知ると、徐々にその対象は馬へと移っていった。親に府中競馬場に連れて行ってもらい、生で見た競走馬の迫力に「格好いい」と思い、騎手になることを決意したという。
しかし、地方競馬教養センター時代は「失敗したな」と感じたこともあったという。「お菓子も食べられないし、遊びにも行けないし」とジョーク交じりに振り返ったが、2年間の訓練、厩舎実習などで徐々に自信をつけた。
「自分が勝つことはもちろん、世話をするなど自分が関わった馬が勝ってもうれしい。昨年のジョッキーズカップなど、乗ったことがなかった馬で勝てたことはよかった」。初コンビを組む馬でも乗りこなす器用さも出てきたが「自分はマイペースだから。たまたま相性がよかったのかな」と笑う。戦法について「なるべく前につけられるように頑張っている。その方が成績を残しているから」と明かした。
尊敬する騎手は同じ川崎の先輩・今野忠成。「周りのことを考えてくれているし、面白いことも言ってくれる」と感謝した。自身の休日は「一人行動が多い。買い物に行ったり、お酒を飲みながらアニメを観ている」と明かした。イチ押しは「銀魂」で、一時は「ウマ娘」がプリントされたヘルメットを着用していたほどのアニメ通だ。
地方の魅力について「中央競馬に比べて地方競馬の方がコースと客席の距離が近い。迫力があると思う」と話し、自身の目標は「もっと成績を上げて、乗り数を増やしたい。お客さんにありがとうと言われるとうれしいから」と語った。「コロナが落ち着いたら競馬場にまた来てほしい。そして応援してもらいたい」と呼びかけた。