グランアレグリアで朝日杯FS挑戦 藤沢和師の見立て見事に的中

2021年12月17日 05:30

18年の朝日杯FSに出走したグランアレグリア

 【競馬人生劇場・平松さとし】今週末、阪神競馬場で朝日杯フューチュリティS(G1)が行われる。3年前の2018年、牝馬ながら果敢にここに挑戦したのがグランアレグリアだ。

 管理するのは藤沢和雄調教師。朝日杯FS当日、羽田から一緒に飛行機に乗ると、到着した伊丹で聞かれた。

 「普段、平松君はここから競馬場までどうやって移動しているのかな?」

 モノレールと電車を乗り継いでいると伝えると「面白いな。それで行ってみよう」との返事。日本一の調教師と共にそこから公共機関を利用して移動しつつ、なぜ牝馬を朝日杯FSに挑ませるのかを聞くと、次のような答えが返ってきた。

 「阪神ジュベナイルフィリーズだとクリストフ(ルメール騎手)が乗れないと言う。現時点ではカイバを食べなかったり、カリカリしたりとまだ少し難しい面があるので、手替わりはさせたくないし、まあ、潜在能力的には牡馬に交ざってもヒケは取らないと思うので、こちらに挑ませることにしたんだ」

 結果は残念ながら3着。レース後に改めて話を聞くと、言った。

 「カイ食いが悪い割に体重は増えていたし、1年もたてば落ち着きも出て良い馬になっているんじゃないかな…」

 伯楽の経験則から来るその見立ては見事に的中する。ちょうど1年後に阪神カップ(G2)をぶっちぎると、古馬になってからはアーモンドアイを完封した安田記念(G1)やマイルチャンピオンシップ(G1)連覇など短距離戦線で大活躍。3歳春の桜花賞(G1)を含めG1を6勝もしてみせた。

 そのグランアレグリアは18日、中山競馬場で引退式を行う。最後のお別れに注目したい。

 ちなみに朝日杯FS当日の競馬場へ向かう電車で、藤沢調教師の隣に座っていた男性が読む新聞の1面には大きな見出しで“グランアレグリア”と書かれていた。こんな希有(けう)な場面に立ち会うことはまずないと思い、こっそり写真を撮影したのだが、これはここだけの内緒の話である。 (フリーライター)

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2021年12月17日のニュース