【川崎】騎手紹介⑯デビュー20周年に誓った「感謝」の思い 増田はキャリアハイと重賞初制覇を目指す

2022年1月31日 12:00

重賞初制覇を目指す増田充宏

 デビューから20年。増田充宏(38)は節目の年を迎えて思いを新たにした。年頭に掲げたテーマは「感謝」。それは、大ファンである「ももいろクローバーZ」に由来する。

 「ももクロは感謝を前面に出す人たちというのもあるのですが、それを考えていると僕たちの仕事は裏で働いてくれる人たちがいますし、牧場で頑張っている人もいる。見えないところでやってくれている人たちがたくさんいるのに、なんで今まで気にしていなかったのかなというのがあって。感謝の気持ちを忘れないようにと思っています」。

 感謝の気持ちを形にするために、結果を求めていく。「重賞を勝ちたいと思います。あとは勝ち鞍を増やしたい。これまで年間31勝が最高なので、それ以上は勝ちたい。勝利で恩返ししたいです」。これまで以上に強い思いでレースに臨んでいる。

 騎手を目指すようになったのは、競走馬育成シミュレーションゲーム「ダービースタリオン」がきっかけだった。「中学生のときに友人がやっていて、それで興味を持って、テレビでも競馬を見るようになりました。そのときにサイレンススズカのレースを見てすごい衝撃を受けて、騎手って格好いいなと思いました」。

 騎手を育成する地方競馬教養センターに入るためには視力がギリギリだったというが、中学の先生から言われ続けた「夢は諦めるな」という言葉を胸に努力を続けた。「夜に星などを見ていたら視力が良くなって。それで高2の時に受けることにしました」。そして、02年11月、念願の騎手デビューを果たした。

 通算騎乗数が5500回を超えても、最も印象に残っている馬はデビュー戦で騎乗したペプチドハナシオンだという。「ゲートがちょっと悪くて。そのときは緊張しているとは思わなかったのですが、緊張していてうまく乗れていなかったですね」。実直な増田らしく、今でも当時の経験を忘れることはない。

 重賞の勝ち鞍には恵まれていないが、抽選で騎乗馬が決まる川崎ジョッキーズカップシリーズでは20年に2位、21年は3位に入るなど奮闘している。「ジョッキーズカップはみんな先行したがる。この馬が行きそうだなと考えながら、あまり無理をせずにいい位置を取れたらなと考えたりしました」。冷静な状況判断が好結果につながっている。

 10年には川崎競馬場で結婚式を挙げた。「たまたま競馬クラブの方に競馬場で結婚式をやったら面白いんじゃないかと言われて。折角なら思い出に残るようにと思って」。パドックではファンの前で結婚の誓いをして、本場番には新婦も馬に乗って現れた。「大変でした。自分たちで発注したり、いろいろ考えたりしたので」と振り返る。

 趣味は釣りとももクロのライブに行くこと。ももクロでは高城れに推しだ。2歳の長男もももクロが気に入っているようで「音楽をかけていると踊っている。そろそろ(ライブに)デビューさせたい」という目標もある。

 騎手としてアピールしたいのは「どんな馬でも最後まで諦めない」ということ。さらに意識が高まった増田の騎乗に注目だ。

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