【大阪杯】エフフォーリア 藤沢和流で4度目のG1制覇へデモ!闘志高める3頭併せ、有馬記念以上の動き

2022年3月31日 05:30

ルッジェーロ(奥)と併せて追い切るエフフォーリア(撮影・郡司 修)

 藤沢イズムで挑む春始動戦に死角なし!「第66回大阪杯」(4月3日、阪神)の追い切りが30日、美浦、栗東トレセンで行われ、エフフォーリアが昨年の有馬記念優勝時を上回る走りを披露した。2月で引退した藤沢和雄元調教師(70)が育てた祖父シンボリクリスエス譲りの資質と成長力を備えた年度代表馬。藤沢イズムを継承する愛弟子、鹿戸雄一調教師(59)の仕上げでG1・4勝目へ前進した。同レースは31日に出走馬が確定。4月1日に枠順が決まる。

 競走馬は血で走るという。馬は撫で柄(なでがら=育て方)ともいう。馬の将来は調教で決まるとの意味。この2つの伝に従うなら、エフフォーリアのバックボーンを貫いているのは…。

 “競馬のレジェンド”藤沢和雄元調教師が育てた祖父シンボリクリスエスそっくりの長い背中を収縮させる屈強な鹿毛の馬体。3頭併せの真ん中から蹄の先まで覇気にあふれたストライドを伸ばしていく。ラスト1F11秒2の瞬発力。インのルッジェーロ(7歳オープン)に余力残しで併入した。「先週よりも断然良くなった感じがします」。主戦・横山武は出迎えた鹿戸師に笑顔で報告した。

 「最後方から追いかけるいつもの調教と違って、今日は後ろからつついてもらったことで反応が良くなりました。絶好調だった昨秋の天皇賞ほどではないが、有馬記念時が6~7割、今回は8割ぐらいの状態」と同騎手は言う。道中、前方の馬を目標にして後方からつつかせ、直線で真ん中に入れて気持ちを奮い立たせる3頭併せ。くしくも20年前、藤沢氏がシンボリクリスエスにも課したメンタル重視の調教に孫も応えた。「時計を出すことではなく、走りたい気持ちにさせるのが稽古だと藤沢先生に教わった」と鹿戸師。血統と共に師匠から受け継いだ調教理念である。

 3歳馬の天皇賞・秋&有馬記念制覇はシンボリクリスエス以来史上2頭目。「有馬記念は能力だけで勝ってくれた。一瞬で勝負を付ける加速力と、抜け出しても遊ばずに全力で走る真面目な気性が強さの秘けつかもしれない」(同師)。祖父もそんな2つの持ち味を生かして有馬記念を連覇した。「3歳夏を境にトモの緩さを解消したのもシンボリクリスエスと同じ。古馬になって筋肉で馬体のメリハリが目立ってきた。気性も子供っぽさが抜けてどっしりと大人になった」

 16日深夜に発生した福島県沖地震。震度4を観測した美浦トレセンでは落ち着きを失った馬が馬房の中で物音を立てたが、エフフォーリアは静かにたたずんでいたという。「シンボリクリスエスにも通じる成長曲線を描いている。年度代表馬として勝ちにこだわりたい」。祖父が歩んだ2年連続年度代表馬への道。そのバックボーンは藤沢イズムに貫かれている。

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