【レパードS】ホー 来日2週目で重賞初V、大外枠からカフジオクタゴン絶妙リード「アリガトウ!」

2022年8月8日 05:25

<新潟11R・レパードS>叩き合いを制し、重賞初制覇を飾ったカフジオクタゴン(左)右は2着タイセイドレフォン(撮影・光山 貴大)

 日本の競馬ファンの皆さま、ニーメンハオ(こんにちは)!「第14回レパードS」が7日、新潟競馬場で行われ、香港の名手チャクイウ・ホー(32)騎乗の7番人気カフジオクタゴンが勝利。これが短期免許で来日中のホーにとってJRA重賞初勝利となった。

 大粒の汗を額に浮かべたホーがカフジオクタゴンの馬上でサムズアップ。細身の長身をひるがえして下馬すると、矢作厩舎の関係者と人馬のJRA重賞初勝利を喜んだ。ホーは「アリガトウ!時差ボケもあった先週より、今週は自分自身もいい状態でした」とさわやかな笑顔を振りまいた。

 香港で鍛えた技術の粋が詰まったレースだった。不利な大外枠に思えたが、馬群の間を縫うように内ラチ沿いへ。無理なアクションはなくとも、経済コースと1番人気タイセイドレフォンの直後をゲットした。4コーナーで外に膨らむシーンはあったが、直線は目標にしたドレフォンに併せるように進出。長い手脚をフルに使った追い出しで外から差を詰めると、最後は首差だけ前に出た。ホーは「ゲートが上手で馬の状態も良かったので、とにかく距離ロスをなくそうと考えた。川田ジョッキー(ドレフォン騎乗)のようなトップジョッキーと叩き合いができて私も興奮したし、楽しかった」と少年のように喜んだ。

 地元で手綱を取るゴールデンシックスティ(20、21年の香港マイルを連覇し、G1・6勝)の活躍で一躍、その名が売れたホー。昨年4月にはオクタゴンと同じ矢作厩舎のラヴズオンリーユーでクイーンエリザベス2世カップを優勝した。極端な小回りコースのハッピーバレー競馬場、長い直線があるシャティン競馬場で騎乗技術を研さん。わずか来日2週目で日本のダートにも適応した。ホーは「ダートの質が香港(オールウエザー)とは違う。先週はダートが嫌いと言ってしまいましたが、今日で気に入りました」と周囲を和ませた。

 キングエルメスで同日夜のモーリスドゲスト賞に挑んだ矢作師は、オクタゴンの雄姿をフランスから見守った。これで大幅に賞金を加算。今後のローテーションはまた見直される見込みだ。「日本はプロフェッショナル」と話すホー。この日も「調教では太いかなと思ったのに、返し馬では脚が軽くなっていた。別馬みたいだった」と陣営の調整技術に目を丸くした。目を引くのは貪欲に日本競馬の長所を吸収しようとする姿勢。この来日が香港の若き名手をまた一つ成長させそうだ。

 ◇チャクイウ・ホー 1990年5月25日生まれ、香港出身の32歳。イングリッシュネームがヴィンセント・ホー。09年に香港騎手免許を取得。過去3シーズンの香港リーディングで4位(67勝)、4位(61勝)、5位(50勝)とコンスタントに勝ち星を挙げている。香港現役最強マイラー・ゴールデンシックスティの主戦。昨年クイーンエリザベス2世カップで矢作厩舎ラヴズオンリーユーを勝利に導いた。初のJRA短期免許取得で先月30日から騎乗し、同日の3歳以上1勝クラス(新潟芝1000メートル、カゼノタニノアヤカ)で初勝利。1メートル67、53キロ。

 ◆カフジオクタゴン 父モーリス 母メジロマリアン(母の父メジロベイリー)19年3月8日生まれ 牡3歳 栗東・矢作厩舎所属 馬主・加藤守氏 生産者・北海道洞爺湖町のレイクヴィラファーム 戦績8戦4勝(重賞初勝利) 総獲得賞金7539万6000円 馬名の由来は冠名+八角形

 【レパードSアラカルト】

 ☆矢作師 このレース初勝利。JRA重賞は中山記念(パンサラッサ)に続いて今年2勝目、通算55勝目。

 ☆モーリス産駒 このレース初勝利。JRA重賞はエプソムC(ノースブリッジ)に続いて今年3勝目、通算7勝目。

 ☆関西馬 18年グリム以来の勝利で8勝目、関東馬は6勝。

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