【皐月賞】ソールオリエンス最少キャリア3戦目1冠 4角17番手から鬼脚 横山武は喜び爆発

2023年4月17日 05:10

<皐月賞>ソールオリエンスでレースを制した横山武は雄叫びをあげる(撮影・河野 光希)

 牡馬クラシック初戦「第83回皐月賞」が16日、中山競馬場で行われ、横山武史(24)騎乗の2番人気ソールオリエンスが大外一気で快勝。2歳戦が実施されるようになった46年以降では最少キャリアとなる3戦目で、史上20頭目の無敗王者に輝いた。管理する手塚貴久師(58)は初の皐月賞制覇。今後はダービー(5月28日、東京)で無敗2冠に挑む。

 常識を超えた鬼脚に観客がどよめいた。ソールオリエンスはゲートを出てから進まず、4角では17番手。絶望的な位置取りだ。それでも横山武は慌てなかった。直線に入ってムチを入れると、ぐんぐん加速。上がり2位に0秒9も差をつける35秒5の脚で、前にいた16頭をぶち抜いた。

 重馬場で前半1000メートル58秒5のハイペース。たしかに展開は向いた。それでも、直線の短い中山競馬場での大外一気は並大抵の馬にはできない。圧巻のパフォーマンスに、横山武は何度もガッツポーズし喜びを爆発させた。「ある程度の位置を取ろうと思ったけど…。この馬のリズムを重視して運びました。直線は本当に気持ち良かった。この馬の強さは僕が一番分かっていますから」と興奮気味だった。

 いくつもの試練を乗り越えた戴冠だった。内が荒れた馬場での1枠1番。勝ち馬が出ていない京成杯からの臨戦。手塚師は「難しい枠だったけど、武史君がうまく乗ってくれた。4コーナーで前の馬と離れていてどうかと思ったけど、想像以上の走りだった。この馬を信じて良かった。声が出るくらい応援しましたよ」と愛馬を称えた。

 3カ月ぶりの実戦でも不安はなかった。「優等生なので調整も難しくありませんでした。パドックでは気合が入ってなくて大丈夫かなと思いましたけど、返し馬が終わったらスイッチが入っていた。本当に凄い馬ですね」と感嘆した。

 横山武にとっても大きな1勝だった。キラーアビリティで制した21年12月のホープフルSからG1勝利はなし。「毎日、騎乗について研究していた。憧れのジョッキーの騎乗法をまねしたりもした」。試行錯誤の末、2年前にG1初勝利した舞台でG16勝目を飾った。「ようやく結果が出た。最高の気持ちです」と笑顔を見せた。

 3冠馬ナリタブライアン、コントレイルと同じ1枠1番での勝利。当然、ダービー制覇へ夢は膨らむ。クラシック5競走完全制覇が懸かる手塚師は「上積みしかない。直線が長い東京競馬場は楽しみ。厩舎一丸となって調整します」と本番を楽しみにする。21年に無敗馬のエフフォーリアで参戦し2着に終わった横山武は「あのときは悪夢のような負け方だった。今回は、この馬の能力を発揮できるように乗ります」と雪辱へ意気込んだ。

 さあ、次は史上8頭目の無敗2冠へ。鞍上も「まだまだこれからの馬」と期待する未完の大器が、ファンの夢を乗せてダービーの大舞台で最高のパフォーマンスを見せつける。

 ソールオリエンス 父キタサンブラック 母スキア(母の父モティヴェーター)20年4月4日生まれ 牡3歳 美浦・手塚厩舎所属 馬主・社台レースホース 生産者・北海道千歳市の社台ファーム 戦績3戦3勝(重賞2勝目) 総獲得賞金2億7269万7000円 馬名の由来は朝日(ラテン語)。

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